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澆季
「澆季〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
澆季の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「文芸の哲学的基礎」より 著者:夏目漱石
まこと》であります。いかにこの嘘が便宜であるかは、何年となく嘘をつき習った、末世
澆季《まつせぎょうき》の今日では、私もこの嘘を真実《しんじつ》と思い、あなた方も....
「虞美人草」より 著者:夏目漱石
にせもの》だよ。君らがみんな欺《あざむ》かれているんだ。母じゃない謎《なぞ》だ。
澆季《ぎょうき》の文明の特産物だ」 「そりゃ、あんまり……」 「君は本当の母でな....
「草枕」より 著者:夏目漱石
ただおのが住む世を、かく観《かん》じ得て、霊台方寸《れいだいほうすん》のカメラに
澆季溷濁《ぎょうきこんだく》の俗界を清くうららかに収め得《う》れば足《た》る。こ....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
確かに刑死を見届けたその子が息災で生きいた。これ全くサンチアゴ大尊者の霊験、世は
澆季《ぎょうき》に及ぶといえどもと、お定まりの文句で衆人驚嘆せざるなし。所の監督....
「夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
う多年御辛抱なさりますと、三十年、五十年とは申しますまい。今の世は仏の末法、聖の
澆季、盟誓も約束も最早や忘れておりまする。やッと信仰を繋ぎますのも、あの鐘を、鳥....
「現代日本の思想対立」より 著者:戸坂潤
道」を説くことを最も好む哲学と見える。官吏があれば即ち吏道という観念を創始する。
澆季の世に於ては道を聴くことの如何に易いかを思わざるを得ない。今日では晨《あした....
「女子の独立自営」より 著者:与謝野晶子
りながら、なお世の中には前代の夢を見ている人たちが多くあって、道徳が腐敗したとか
澆季になったとか歎息するのは怪しからん事だと存じます。只今は明治の新道徳が何処ま....
「鏡心灯語 抄」より 著者:与謝野晶子
本流に乗ることを忘れ時代の競走に落伍していながら、かえって反感と否定とを以て世の
澆季を罵ったりもするのである。 * 永久の真理のないと共に万人に....
「学生と先哲」より 著者:倉田百三
れども日蓮は悦ばず、正法を立せずして、弘教を頌揚するのは阿附である。暁しがたきは
澆季の世である。このまま邪宗とまじわり、弘教せんより、しばらく山林にのがれるには....
「紅白縮緬組」より 著者:国枝史郎
ないか。白縮緬に張り合って、ああいう手合いが出るところを見ると、世はまだなかなか
澆季ではないのう」 其角は豪放に笑ったが、 「この私に点を入れさせるなら、紅縮....
「俊寛」より 著者:倉田百三
信じられないほど残酷な運命が平氏をどう扱うか、わしはそれが知りたい。 有王 世は
澆季になったと思われまする。平氏はますます栄えはびこり、その荘園は天下に半ばし、....
「歌の円寂する時」より 著者:折口信夫
情熱である。その激しい律動が、表現の段階を一挙に飛躍せしめたのである。ところで、
澆季芸術の上に、情熱の古代的|迸出を望むことは出来ない。我々の内生活を咄嗟に整理....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
国へゆるゆると広められる。
そのうち道理が非理になって、仁政が秕政になる。
人は
澆季には生れたくないものだ。
さて人間生れながらの権利となると、
惜いかなどこで....
「木綿以前の事」より 著者:柳田国男
と、是と全然同じ事を四千年後の先輩もまだ言っているのである。 日本などにも世道
澆季を説く人は昔からあった。正法末世という歎きの声は、数百年間の文芸に繰返されて....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
への冒涜が多い。むしろ秩序|紊乱の罪悪がどれだけ芸術の正しい品位を破るか。近代は
澆季なりと時の人が嘆いたあの戦慄すべき保元平治時代よりもまだまだ今日の芸術界の一....