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澱
「澱〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
澱の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
、あの生稲《いくいね》の雨の夜の記憶を、まざまざと心に描き出しました。が、三浦は
澱《よど》みなく言《ことば》を継《つ》いで、『これが僕にとっては、正に第一の打撃....
「彼 第二」より 著者:芥川竜之介
い夜更《よふ》けの大根河岸《だいこんがし》には雪のつもった枯れ柳が一株、黒ぐろと
澱《よど》んだ掘割りの水へ枝を垂らしているばかりだった。
「日本《にほん》だね、....
「温泉だより」より 著者:芥川竜之介
「三太」を懐《ふところ》に入れたまま、「か」の字川の「き」の字橋へ行き、青あおと
澱《よど》んだ淵《ふち》の中へ烏猫を抛《ほう》りこんでしまいました。それから、―....
「おしの」より 著者:芥川竜之介
之丞《しんのじょう》と申すものが大病なのでございますが……」
女はちょいと云い
澱《よど》んだ後《のち》、今度は朗読でもするようにすらすら用向きを話し出した。新....
「三右衛門の罪」より 著者:芥川竜之介
」
「口論などを致したことはございませぬ。ただ………」
三右衛門はちょっと云い
澱《よど》んだ。もっとも云おうか云うまいかとためらっている気色《けしき》とは見え....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
こは一旦|湍《たぎ》った水が今までの勢いを失いながら、両岸の石と砂との間に青々と
澱《よど》んでいる所であった。彼はしばらくその水面を目測しているらしかったが、急....
「星座」より 著者:有島武郎
をしているようだった。枝を離れた一枚の木の葉が、流れに漂う小舟のように、その重く
澱《よど》んだ空気の中を落ちもせず、ひらひらと辷《すべ》っていくのを見た。清逸は....
「親子」より 著者:有島武郎
いるのを、彼は珍しいもののように後から眺めた。 物の枯れてゆく香いが空気の底に
澱んで、立木の高みまではい上がっている「つたうるし」の紅葉が黒々と見えるほどに光....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
はその所産を自己の中に貯える。本能的生活は常にその所産を捨てて飛躍する。 私は
澱みに来た、そして暫く渦紋を描いた。 私は再び流れ出よう。 私はまず愛を出発....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
としては普通に水が考えられていた。最古からの経験によって洪水の際には泥土の層が沈
澱することが知られており、この物はいろいろな築造の用途に都合の良い性質によって特....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
る勢。 「一口どうかね。」 と串戯に瓶の底を傾けて、一つ医師が振った時、底の沈
澱がむらむらと立って、煙のように蛇身を捲いたわ。 場所が場所で、扱う人が扱う人....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
はかかる軽信家の群に対して、言うべき何物もない。同時にわれ等の手に負えぬは、かの
澱める沼の如き、鈍き、愚かなる心の所有者である。われ等の千言万語も、遂に彼等の心....
「狂女」より 著者:秋田滋
また、思想というものが跡形もなく消え失せてしまって、流れぬ水のように、一ところに
澱んだままになっていたのだろうか。 十五年という永い年月の間、彼女はこうして一....
「初雪」より 著者:秋田滋
に拭いた。なんと云えばいいのか、彼女には分らなかった。やっとの思いで、頻りに云い
澱みながらこう云った。 「あたし――あたしねえ――何だか悲しいんですの――何だか....
「北海道に就いての印象」より 著者:有島武郎
にする。 或る冴えた晩秋の朝であった。霜の上には薄い牛乳のような色の靄が青白く
澱んでいた。私は早起きして表戸の野に新聞紙を拾いに出ると、東にあった二個の太陽を....