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澱む
「澱む〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
澱むの前後の文節・文章を表示しています。該当する6件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「霜凍る宵」より 著者:近松秋江
いろ話をしている間にいくらかこちらの心中がわかって来たようであったが、いくたびも
澱むように私の顔をじっと見ながら、 「今やからあんたはんに言いますけど、真相はこ....
「渋谷家の始祖」より 著者:宮本百合子
は勿論知っているのである。彼は自分で、自分の破廉恥に苦しみながら、その苦悩の底に
澱む、愛に似た、痛痒い心持を、色褪めた舌で、嘗め尽そうとしたのである。 ....
「夢鬼」より 著者:蘭郁二郎
。 こうした頽廃的な雰囲気の中に、いつも絶えない、座員間の軋轢と、華やかな底に
澱む、ひがんだ蒼黒い空気とは、幼い黒吉の心から、跡形もなく「朗らかさ」を毟り取っ....
「旅愁」より 著者:横光利一
訊ねた。
千鶴子は、「ええ。」と低く答えたまま、暫く重く黙っていてからまた云い
澱む風に云った。
「兄さんもう日本へ帰るんですの。あたしの来るときもう帰るんだっ....
「秋風記」より 著者:太宰治
だを、滑りこませて、 「紅葉って、派手な花なのね。」 「ゆうべは、――」私が言い
澱むと、 「ねむれた?」無心にたずねるKの眼は、湖水のように澄んでいる。 私は....
「故郷」より 著者:豊島与志雄
なものが澱んでいるのを見出した。大空に見入ってる時、大海を見渡してる時、心の中に
澱むような何かだ。空虚だとも云えるし、苦悩だとも云えるし、翹望だとも云える。死の....