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濁
「濁〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
濁の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
だば》を飛ばしながら、おいおい、呂律《ろれつ》がまわらなくなって来た。が、なおも
濁った目に懸命の憎悪《ぞうお》を集めながら、足を踏み鳴らして、意味のない事を叫び....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
》の足を洗ったばかりで、急に力がぬけたように手拭の手を止めてしまった。そうして、
濁った止め桶の湯に、鮮《あざや》かに映っている窓の外の空へ眼を落した。そこにはま....
「母」より 著者:芥川竜之介
たぎり、今はもう人音《ひとおと》も何もしない。あの汽船はとうに去ったであろう。赤
濁《あかにご》りに
濁った長江《ちょうこう》の水に、眩《まばゆ》い水脈《みお》を引....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
ことも知らず聞え出した。と同時に木々の空が、まるで火事でも映すように、だんだん赤
濁りを帯び始めた。「戦争だ。戦争だ。」――彼女はそう思いながら、一生懸命に走ろう....
「首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
の平地が次第に緩《ゆる》い斜面をつくって、高粱と高粱との間を流れている、幅の狭い
濁り川が、行方《ゆくて》に明《あかる》く開けた時、運命は二三本の川楊《かわやなぎ....
「日光小品」より 著者:芥川竜之介
》がかたまって、家鴨《あひる》の死んだのがその中にぶっくり浮んでいた。どんよりと
濁った沼の水には青空がさびついたように映って、ほの白い雲の影が静かに動いてゆくの....
「沼地」より 著者:芥川竜之介
、「沼地」とか云うので、画家は知名の人でも何でもなかった。また画そのものも、ただ
濁った水と、湿った土と、そうしてその土に繁茂《はんも》する草木《そうもく》とを描....
「大川の水」より 著者:芥川竜之介
気がする。
自分はどうして、こうもあの川を愛するのか。あのどちらかと言えば、泥
濁《どろにご》りのした大川のなま暖かい水に、限りないゆかしさを感じるのか。自分な....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
、確かに渡しました。しかし御返事の所は――」とか何とか、曖昧《あいまい》に言葉を
濁していた。それでも彼は渡したと云う言葉に満足して、その上立ち入った事情なぞは尋....
「出帆」より 著者:芥川竜之介
間の水なるものが、非常にきたない。わらくずやペンキ塗りの木の片《きれ》が黄緑色に
濁った水面を、一面におおっている。どうも、昔、森さんの「桟橋《さんばし》」とかい....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
よいよ烈しさを加えるのであろう。今は入り日さえ窓の外に全然光と言う感じのしない、
濁《にご》った朱《しゅ》の色を漂《ただよ》わせている。半三郎の脚はその間も勿論静....
「追憶」より 著者:芥川竜之介
出合った。が、幸いどの大水も床の上へ来たことは一度もなかった。僕は母や伯母などが
濁り水の中に二尺指しを立てて、一分殖えたの二分殖えたのと騒いでいたのを覚えている....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
何?」 やはり遠足について来たらしい、僕の前にいた「写真屋さん」は何とかお茶を
濁していた。しかし十四五の女生徒の一人はまだいろいろのことを問いかけていた。僕は....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
なり。馬車の動揺に精神を撹乱し、単純なる空気を呼吸したる肺臓は砂煙りに混じたる汚
濁|臭穢の空気を吸い込み、馬車人力車の轟きさながらに地獄の如く、各種商店の飾りあ....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
せっせと槌を動かしながら、大きい花崗石を削っていた。のみならず工事中の鉄橋さえ泥
濁りに
濁った大川の上へ長々と橋梁を横たえていた。僕はこの橋の名前は勿論、この橋の....