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濁世
「濁世〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
濁世の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「神社合祀に関する意見」より 著者:南方熊楠
身凶刃に斃る。後世、仏者曲説保護せんとするも、その弁を得ず、わずかにこれこの菩薩
濁世に生まれて天子すら悪をなすべからざるの理を実証明示せるなりと言う。嗚呼《ああ....
「薤露行」より 著者:夏目漱石
の薄きに畳む。あるときは黒き地《じ》に、燃ゆる焔《ほのお》の色にて十字架を描く。
濁世《じょくせ》にはびこる罪障の風は、すきまなく天下を吹いて、十字を織れる経緯《....
「猿飛佐助」より 著者:織田作之助
武ニアラザレバ人ニアラズトイフガ如キ今日、武ヲ知ラザレバ卑屈ノ想多シ」 「山中ニ
濁世厭離ノ穴ヲ見ツケテ、隠棲成ス所以ハ」 「ワレ信州ニカクレモナキアバタ面、即チ....
「弟子」より 著者:中島敦
この人と、この人を竢《ま》つ時世とを見て泣いた時から、子路の心は決っている。
濁世《だくせ》のあるゆる侵害《しんがい》からこの人を守る楯《たて》となること。精....
「新釈諸国噺」より 著者:太宰治
、そろそろ懐中も心細くなり、何度下山を思い立ったかわかりません。けれども、一旦、
濁世を捨てた法師が、またのこのこ
濁世の親御の家へ帰って泣いておわびをするなどは古....
「母」より 著者:宮本百合子
たれ、感傷し、感情の上で弟にまきこまれた。五ヵ月後、彼が遂に死んだ時も、母はこの
濁世に生きるには余り清純であった息子の霊界への飛翔という風に、現実の敗北を粉飾し....
「源氏物語」より 著者:紫式部
私などはどうした宿命だったのでしょうか、これでもこの世がいやにならぬか、これでも
濁世を離れる気にならぬかと、仏がおためしになるような不幸を幾つも見たあとで、よう....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
幾ばくも生きないことである。人間というものはそう長生をするものではない。よって、
濁世を厭離し、自然山川の清い風光に接見しつつ、仏道を修めねばならぬ、というのであ....
「親鸞」より 著者:三木清
であるであろう。無戒が破戒以下であることが自覚されねばならぬ。 「しかれば穢悪
濁世の群生、末代の旨際をしらず、僧尼の威儀をそしる。今の時の道俗、おのれが分を思....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
云々する者もあるけれども、経典に言わずや、鶴は相見てすなわち孕む、それ歌人はこの
濁世に処して、あたかも鳶烏の中における鶴のごときものであるから、結婚の以前、既に....
「法然行伝」より 著者:中里介山
法然も仰せに従って披講《ひこう》をした。その時「往生極楽の教行《きょうぎょう》は
濁世《じょくせ》末代の目足なり。道俗貴賤、誰れか帰せざらんもの」と読み上げただけ....
「三国志」より 著者:吉川英治
せてきたのだ。人の美徳を辱めるのは、人間の良心へ唾することになろう。この暗澹たる
濁世にも、なお、人間の社会が獣にまで堕落しないのは、天性いかなる人間にも、一片の....
「三国志」より 著者:吉川英治
やこれまでの人々をお語らいになりましたか」 「世はまだ滅びません。たのもしき哉、
濁世のうちにも、まだ清隠の下、求めれば、かくの如き忠烈な人々も住む」 「この地上....
「三国志」より 著者:吉川英治
孔明は声を張った。 その声は雲雀のように、高く天にまで澄んで聞えた。 「滔々、
濁世のとき、予は若き傷心を抱き、襄陽の郊外に屈居して、時あらん日を天に信じ、黙々....
「賤民概説」より 著者:喜田貞吉
いで出たのが恵心僧都源信である。彼は「往生要集」を著わして、「往生極楽の教行は、
濁世末代の目足なり。道俗貴賤誰か帰せざらんものぞ。ただし顕密の教法はその文一にあ....