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濁声
「濁声〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
濁声の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「あらくれ」より 著者:徳田秋声
の居間にしている六畳の部屋に敷かれた座布団も、大概|塞《ふさ》がっていた。中には
濁声《だみごえ》で高話《たかばなし》をしている男もあった。
外が暗くなる時分に....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
あらものや》を兼ねた居酒屋《いざかや》らしい一軒から食物の香と男女のふざけ返った
濁声《だみごえ》がもれる外《ほか》には、真直《まっすぐ》な家並は廃村のように寒さ....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
《とど》まらで、空に文《あや》織る練磨《れんま》の手術、今じゃ今じゃと、木戸番は
濁声《だみごえ》高く喚《よば》わりつつ、外面《おもて》の幕を引き揚《あ》げたると....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
か聞きたい事があればこちらへ来られてはどうですか」 彼の声は身体に相応しい太い
濁声で、ひどい奥州訛りのあるのが、一層彼をいかつく見せた。 「ご尤もです」 石....
「新世帯」より 著者:徳田秋声
そこここの森蔭から見えていた。前の濁醪屋では、暖かそうな煮物のいい匂いが洩れて、
濁声で談笑している労働者の影も見えた。寒い広場に、子守が四、五人集まって、哀れな....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
女を、中へ取りこめて揉み合っていた。 「やい、こん畜生! 悪い奴だ!」 源介は
濁声で一喝した。「ところもあろうに江戸の真ん中で、女|悪戯とは何事だ、鯨の源介が....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
たまま、一ツ撮もうとした時であった。 「ヒイ、ヒイヒイ!」と唐突に奇声を放った、
濁声の蜩一匹。 法師が入った口とは対向い、大崩壊の方の床几のはずれに、竹柱に留....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
闘牛場。 とうろす・け・ばん! あ・またる・おい! 雑音を衝いて破裂する奇声、
濁声。 4・PM。 じっとしていても汗ばむ太陽の赤光だ。 満場に横溢する力....
「東上記」より 著者:寺田寅彦
と一碗を傾くればはや厭になりぬ。寺田寅彦さんと云う方は御座らぬかとわめくボーイの
濁声うるさければ黙って居けるがあまりに呼び立つる故オイ何んだと起き上がれば貴方で....
「鸚鵡蔵代首伝説」より 著者:国枝史郎
声に耳を藉し、幸福を感じながら彼は呆然していた。納屋の方からは、大勢の作男たちの
濁声が聞こえ、厩舎の方からは、幾頭かの馬の嘶く声が聞こえた。時々、下婢や下男が彼....
「オフェリヤ殺し」より 著者:小栗虫太郎
、最後の幕で彼奴の胸をぶん抜いてやる――と力味返っていましたぜ」 と背後で太い
濁声がしたかと思うと、何時の間にか、そこには淡路研二が突っ立っていた。 この老....
「娘煙術師」より 著者:国枝史郎
。
「いったいここはどこなんだ!」すっかり酔いのまわり切った、ろれつのまわらない
濁声であった。
「誰かと話をしたはずだが、誰と話をしたのやら」
老人も少しずつ....
「駅夫日記」より 著者:白柳秀湖
忙しそうに工事を急いでいる。灯の影に閃く得物の光、暗にうごめく黒い人影、罵り騒ぐ
濁声、十字鍬や、スクープや、ショーブルの乱れたところは、まるで戦争の後をまのあた....
「書記官」より 著者:川上眉山
ござんす。私は一人で帰ってしまいます。 どうせ任せた蔦かつらと、田舎の客の唄う
濁声は離れたる一間より聞えぬ。御療治はと廊下に膝をつくは按摩なり。 *....
「五重塔」より 著者:幸田露伴
千々に砕くる心の態の知られていとどいじらしきに、眼を瞑ぎいし十兵衛は、その時例の
濁声出し、喧しいわお浪、黙っていよ、我の話しの邪魔になる、親方様聞いて下され。 ....