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濁水
「濁水〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
濁水の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「奈々子」より 著者:伊藤左千夫
いたというあたりは、水草の藻《も》が少しく乱れているばかり、ただ一つ動かぬ静かな
濁水を提灯の明りに見れば、ただ曇って鈍い水の光り、何の罪を犯した色とも思えない。....
「水害雑録」より 著者:伊藤左千夫
て雨に懊悩した時は、未だ直接に水に触れなかったのだ。それで水が恐ろしかったのだ。
濁水を冒して乳牛を引出し、身もその
濁水に没入してはもはや水との争闘である。奮闘は....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
おるかを示して、雨に濡れたる艶消玉の月に輝く美しさを探ることを教えねばならない。
濁水|滔々たる黄河の流れを貪り汲まんとする彼らをして、ローマの街にありという清洌....
「時計屋敷の秘密」より 著者:海野十三
、八木君がそれへ上ろうとして力をいれると、とたんに足がすべって、どぶんとその身は
濁水《だくすい》の中に落ちてしまった。そして彼は、いやというほど泥水《どろみず》....
「転機」より 著者:伊藤野枝
が濫伐されたために、年々洪水の被害が絶えないのと、その洪水のたびに、やはり鉱毒が
濁水と一緒に流れ込んでくるので、鉱毒問題の余炎がとかく上りやすいので、政府ではそ....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
晴。四十物町はちょろちょろ流れで、兵粮を積んだ船が往来する。勇美子は裾を引上げて
濁水に脛を浸しながら、物珍らしげに門の前を歩いていた。猟犬ジャムはその袖の下を、....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
手拭を当てても堰留められそうな、田の切目が、薬研形に崩込んで、二ツ三ツぐるぐると
濁水の渦を巻く。ここでは稲が藻屑になって、どうどう流れる。もっとも線路から段々|....
「わかれ」より 著者:国木田独歩
走なりき。かしこは墳墓なりき。今やしからず。今朝より君が来宅までわが近郊の散歩は
濁水暫時地を潜りし時のごとし。こはわが荒き感情の漉されし時なり。再び噴出せし今は....
「坑鬼」より 著者:大阪圭吉
にゆるぎわたった。そして間もなく、坑側の流水溝には、何処から湧き出づるのか夥しい
濁水が、灼熱した四台の多段式タービン・ポンプを尻目にかけて、一寸二寸とみるみる溢....
「レモンの花の咲く丘へ」より 著者:国枝史郎
黒き掛け布ありて半ばしぼられたり。窓を通して陰鬱なる高塔見ゆ。塔の下は水門にして
濁水そこに流れ入る。窓に対して一台の織機あり。一人の女子その機を織る。綾糸は、青....
「今戸狐」より 著者:小山内薫
出来ない、車屋と思ったが、あたりには、人の影もない、橋の上も一尺ばかり水が出て、
濁水がゴーゴーという音を立てて、隅田川の方へ流込んでいる、致方がないので、衣服の....
「欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
教にあらず。そのシナに伝わるものすでに純然ならず、流れて日本に入るに当たりてまた
濁水と混じ、腐敗の宗教となる。もし、これを今日インドに伝わるものと比するときは、....
「西航日録」より 著者:井上円了
ち蛮人に接するの思いをなす。もしその迷信にいたりては、いちいち列挙し難し。恒河の
濁水をもって最上神聖なるものとし、いかなる不潔不浄もひとたびこの水にて洗い去れば....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
どれ。一つ打っ附かって遣ろう。
いや。老先生。レエテの川の、人に物忘をさせる
濁水が、その俯向けておられる禿頭を底から
漬していないなら、ここへ昔の学生が、学....
「旃陀羅考」より 著者:喜田貞吉
蓮は、自ら旃陀羅の子たることを明らかにし、畜身と云い、畜生の身と云い、またこれを
濁水糞嚢にたとえ、色身不相応の故に愚者の侮るもまた故ありなどと云って、自らその出....