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濁流
「濁流〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
濁流の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
と両腋《りょうえき》に起こりて毛髪|竪《た》ち、道はさながら河《かわ》のごとく、
濁流脚下に奔注《ほんちゅう》して、身はこれ虚空を転《まろ》ぶに似たり。 渠は実....
「本州横断 癇癪徒歩旅行」より 著者:押川春浪
れば、雨はますます激しく、ただ見る、河水は氾濫《はんらん》して両岸湖水のごとく、
濁流|滔々《とうとう》田畑《でんばた》を荒し回り、今にも押流されそうな人家も数軒....
「水害雑録」より 著者:伊藤左千夫
水層はいよいよ高く、四ツ目より太平町に至る十五間幅の道路は、深さ五尺に近く、
濁流奔放舟をもって渡るも困難を感ずるくらいである。高架線の上に立って、逃げ捨てた....
「超人間X号」より 著者:海野十三
後の避難者の腕に、まっ白な猫の子がだかれていた。 ものすごい決潰と、恐ろしい大
濁流とに、人々はすっかりおびえきっていて、もっと早くしなくてはならないことを忘れ....
「絵本の春」より 著者:泉鏡花
ったから、男女に死人はない。二階家はそのままで、辛うじて凌いだが、平屋はほとんど
濁流の瀬に洗われた。 若い時から、諸所を漂泊った果に、その頃、やっと落着いて、....
「ドナウ源流行」より 著者:斎藤茂吉
を見ていた時である。それは晩春の午後であった。それから或る時は、この河の漫々たる
濁流が国土を浸して、汎濫域の境線をも突破しようとしている勢を見に行ったことがある....
「我が人生観」より 著者:坂口安吾
のだ)青梅の駅へ降りた時には猛烈なドシャ降りである。すでに多摩川は水量をまして、
濁流は堤をかみ、青梅の万年橋を渡る時には、今にも橋が解体しそうな心細さを覚えたほ....
「決闘」より 著者:神西清
架行列の甘い夢想……。黒河も雨のため黒さと川幅を増している。補祭は用心しながら、
濁流の鬣がもう届きそうになっている危なっかしい橋を渡り、小さな梯子を攀じ上って乾....
「茶の湯の手帳」より 著者:伊藤左千夫
な誤信普及の結果である。澄むの難く濁るの易き、水の如き人間の思潮は、忽ちの内に、
濁流の支配する処となった、所謂現時の上流社会なるものが、精神的趣味の修養を欠ける....
「三十年前の島田沼南」より 著者:内田魯庵
れよりはむしろ小悪微罪に触れるさえ忍び得られないで独りを潔うする潔癖家であった。
濁流の渦巻く政界から次第に孤立して終にピューリタニックの使命に潜れるようになった....
「国境」より 著者:黒島伝治
別の橇に積みこませた。 四 黒竜江の結氷が轟音とともに破れ、氷塊は、
濁流に押し流されて動きだす春がきた。 河蒸汽ののどかな汽笛が河岸に響きわたった....
「西航日録」より 著者:井上円了
清澄鏡のごとくなるも、下流にくだるに従い、いたるところ工場のために汚され、ついに
濁流となるは、余が遺憾とするところなり。また、樹木は煤煙のために深黒に化しおるも....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
にラプラタ川の河口にして、その距離一百二十マイルあり。全湾の色は、あたかも黄河の
濁流を見るがごとし。上陸にさきだちて大塚伸太郎氏、埠頭にて迎えらる。同氏とともに....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
女郎花風の鬱金色の花も簇がっていた。だが、凄まじい飛沫のなだれであった。幌内川の
濁流とオホーツク海の波濤とがその河口で激しくかち合って騒ぐのである。それにまだ昨....
「黒部川を遡る 」より 著者:木暮理太郎
一ぱいに漲り溢れて急瀬を躍らしている本流の横へ、左から雨で水量の増した赤黒い色の
濁流を石と共に押出していた。本流が濁るのは斯うした支流の影響であろう。 谷筋を....