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「濁酒〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

濁酒の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
老ハイデルベルヒ」より 著者:太宰治
。集る者は大抵四十から五十、六十の相当年輩の男ばかりで、いずれは道楽の果、五合の濁酒が欲しくて、取縋《とりすが》る女房子供を蹴飛ばし張りとばし、家中の最後の一物....
あさましきもの」より 著者:太宰治
ょいと、ちょいとの手招きと変らぬ早春コント集の一篇たるべき運命の不文、知りつつも濁酒三合を得たくて、ペン百貫の杖よりも重き思い、しのびつつ、ようやく六枚、あきら....
三人の双生児」より 著者:海野十三
ッとするような『海盤車娘』の踊りや、見せたくない素肌を曝したり、ときにはお景物に濁酒くさい村の若者に身体を触らせたりしていました。もちろん見物の衆は、僕のことを....
八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
ここは寂しい宇田川町、夜がしんしんと更けていた。 源介という駕籠舁きが、いずれ濁酒でも飲んだのであろう、秋だというのに下帯一つ、いいご機嫌で歩いていた。 「金....
松の操美人の生埋」より 著者:三遊亭円朝
白な馬が繋いで有ります。 山三郎は此の馬を見ますると好い白馬だ、白馬と申しても濁酒とは違います、実に十寸もある大馬で、これに金梨地の蒔絵の鞍を置き、白と浅黄の....
万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
なった(橋本博士)。 一首の意は、甲斐ない事をくよくよ思うことをせずに、一坏の濁酒を飲むべきだ、というのである。つまらぬ事にくよくよせずに、一坏の濁醪でも飲め....
勧善懲悪」より 著者:織田作之助
これも身から出た錆と思えば、落魄の身の誰を怨まん者もなく、南京虫と虱に悩まされ、濁酒と唐辛子を舐めずりながら、温突から温突へと放浪した。 しかし、空拳と無芸で....
壁の眼の怪」より 著者:江見水蔭
未だ食べられたが、困ったのは酒を強いられた事で、その酒たるや、正月に造ったという濁酒で、蛆がわいているのであった。 それは好いが、もう暗くなったのに、直芳が帰....
しゃもじ(杓子)」より 著者:佐藤垢石
じに歳は若く、気は盛んであった。久し振りの機会であったので、役場の小使に頼んで、濁酒一升を取り寄せた。われら二人は、豪酒であったから、僅かに一升を酌みあったので....
すっぽん」より 著者:佐藤垢石
数人の村人が五郎八茶碗に掬って、おいしそうに啜った。そして、雲助のような髭面に、濁酒の白い滓をたらし、あかい顔で何かわめいていた人達の姿が、いまでも私の眼の底に....
濁酒を恋う」より 著者:佐藤垢石
まことにいい気持ちになっているのである。いよいよ清酒が飲めないことになれば、私は濁酒でやろうかと考えている。濁酒の味も捨てたものではない。濁酒を燗鍋で温めて飲む....
唇草」より 著者:岡本かの子
切っている。 腐葉土の醗酵した匂いが眼にか鼻にか判らない幽かな刺戟で浸みると、濁酒のような親しげな虚無的な陶酔をほんのり与えた。 白い蝶が二つか三つか、はっ....
式部小路」より 著者:泉鏡花
もしないで、火の玉小僧め、表角の上州屋から三升と提込んでね、おかみさん、突当りの濁酒屋から、酢章魚のこみを、大皿で引いて来てね、 友達三人で煽ったんでさ。 ....
註文帳」より 著者:泉鏡花
ませぬ、たった今川ン中へ引越しますと謂うたらば。 差配さん苦笑をして、狸爺め、濁酒に喰い酔って、千鳥足で帰って来たとて、桟橋を踏外そうという風かい。溝店のお祖....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
を焼いてはいますが、それは騒ぎを大きくするばかりです。 無理はありません。新しい濁酒を入れるには、古い革嚢を早くあけたいのですから。 (幕下る。) 闇の女フ....