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濃い
「濃い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
濃いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「母」より 著者:芥川竜之介
。ほんとうに世の中はいやになってしまう。」
敏子は憂鬱な眼を挙げると、神経的に
濃い眉《まゆ》をひそめた。が、一瞬の無言の後《のち》、鳥籠《とりかご》の文鳥を見....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
柄ででもあったせいか、誰の眼にも二つ三つ若く見えたのに相違ありません。それが眉の
濃い、血色|鮮《あざやか》な丸顔で、その晩は古代蝶鳥《こだいちょうとり》の模様か....
「湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
に惹《ひ》かれたかも知れなかった。が、彼女はその上に高い甲板を見上げたまま、紅の
濃い口もとに微笑を浮かべ、誰《たれ》かに合い図でもするように半開きの扇をかざして....
「松江印象記」より 著者:芥川竜之介
ている。
松江はほとんど、海を除いて「あらゆる水」を持っている。椿《つばき》が
濃い紅《くれない》の実をつづる下に暗くよどんでいる濠《ほり》の水から、灘門《なだ....
「Mensura Zoili」より 著者:芥川竜之介
の先へ度の強そうな近眼鏡をかけて、退屈らしく新聞を読んでいる。口髭《くちひげ》の
濃い、顋《あご》の四角な、どこかで見た事のあるような男だが、どうしても思い出せな....
「路上」より 著者:芥川竜之介
遠い廊下のつき当りにある戸口の方へ歩き出した。が、初子は辰子の顔を見ると、心もち
濃い眉《まゆ》をひそめて、
「どうしたの。顔の色が好くなくってよ。」
「そう。少....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
っち》をすってパイプに火をつけた。西洋人じみた顔が、下から赤い火に照らされると、
濃い煙が疎《まばら》な鬚をかすめて、埃及《エジプト》の匂をぷんとさせる。本間さん....
「少年」より 著者:芥川竜之介
だけは一面に赤い色を塗ることにした。浦島太郎は考えずとも好《い》い、漁夫の着物は
濃い藍色《あいいろ》、腰蓑《こしみの》は薄い黄色《きいろ》である。ただ細い釣竿《....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
すから、今帰ったばかりなのです。」
少将はちょいと頷《うなず》いた後《のち》、
濃いハヴァナの煙を吐いた。それからやっと大儀《たいぎ》そうに、肝腎《かんじん》の....
「或る女」より 著者:有島武郎
だれも意外なような顔をしながら心の中ではそれを信じようとした。
この日髪の毛の
濃い、口の大きい、色白な一人《ひとり》の青年を乗せた人力車《じんりきしゃ》が、仙....
「或る女」より 著者:有島武郎
ほど来てから急に行く手が明るくなったので、見ると光明寺裏の山の端《は》に、夕月が
濃い雲の切れ目から姿を見せたのだった。葉子は後ろを振り返って見た。紫色に暮れた砂....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
いた。部屋の中ではストーブの向かい座にあぐらをかいて、癖のように時おり五分刈りの
濃い頭の毛を逆さになで上げる男ぼれのする君の顔が部屋を明るくしていた。君はがんじ....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
現世の刀ではないのでございましょうが、しかしいかに査べて見ても、金粉を散らした、
濃い朱塗りの装具といい、又それを包んだ真紅の錦襴の袋といい、生前現世で手慣れたも....
「初雪」より 著者:秋田滋
ルマンディーの貴族と結婚させられたのは、四年前のことである。良人というのは、鬚の
濃い、顔色のつやつやとした、肩幅の広い男で、物わかりは余りいいほうではなかったが....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
けではない。彼の本拠はハドソン河の岸のオランダの百姓がたいへん好んで住むような緑
濃い、奥まった、地味の肥沃なところにあった。エルムの巨木がその邸の上にひろびろと....