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「濃い鼠〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

濃い鼠の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
幻談」より 著者:幸田露伴
いるのでしたが、澪の方をヒョイッと見るというと、暗いというほどじゃないが、よほど濃い鼠色《ねずみ》に暮れて来た、その水の中からふっと何か出ました。はてナと思って....
支倉事件」より 著者:甲賀三郎
、帯は覚えて居ります。既ち帯の片側は黒の毛繻子にて片々はメリンス中形で、色は紫か濃い鼠か判然しません。帯の巾は男帯より少し広いので五、六寸位と思います。矢絣の単....
仮装人物」より 著者:徳田秋声
げようとして、かえって手術の必要を痛切に感ずるようになった。 ある日、葉子は、濃い鼠に矢筈の繋がった小袖に、地の緑に赤や代赭の唐草をおいた帯をしめて、庸三の手....
夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
いね、田圃の広場へ出て見ようよ。(と小屋のうらに廻って入る。) 鯰入。花道より、濃い鼠すかしの頭巾、面一面に黒し。白き二根の髯、鼻下より左右にわかれて長く裾まで....
源氏物語」より 著者:紫式部
して、源氏は女王の機嫌《きげん》を直させるのに骨を折った。やっと起きて喪服のやや濃い鼠《ねずみ》の服の着古して柔らかになったのを着た姫君の顔に笑《え》みが浮かぶ....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
風の吹く季節もすぎ、きょうは荒っぽい天候だが、東の窓を机からふりかえって見ると、濃い鼠色の嵐雲の前に西日をうけた八重桜の花が枝もたわわに揺れて美しさと激しさの混....
二都物語」より 著者:佐々木直次郎
の青年であった。彼の身分で言えば青年紳士であった。彼は、じみに、黒かあるいはごく濃い鼠の服を著ていた。そして、長くて黒っぽい彼の髪は、頸の後のところでリボンで束....
スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
陽の光は、河岸のあちこちにそば立つ断崖のいただきの木立のあたりにためらい、岩壁の濃い鼠色と紫色とをいっそう深くきわだたせていた。小船が一|艘はるか遠くにただよっ....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
、厳しくお指図なさる 金のお杖が光ってはいなくって。 おや、急に暗くなったわ。濃い鼠色な、壁のように茶色な 霧が光を見せずに立って逃げて、楽に前の見える目に、....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
、きこえる。 「や、君は此処に何をしているの。」 左手の脚柱の暗い投影の中に、濃い鼠の潮じみ雨じみた角錐形の天幕が一つ、その中に、これも鼠の頭巾附きの汚れ破れ....