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濃密
「濃密〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
濃密の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「あらくれ」より 著者:徳田秋声
寂《ひっそり》していた。
四十七
車窓に襲いかかる山気《さんき》が、次第に
濃密の度を加えて来るにつれて、汽車はざッざッと云う音を立てて、静に高原地を登って....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
の横浜市への五百機来襲であった。 ◯御影の益兄さん一家も、芦屋、御影、神戸東部の
濃密爆撃のため、全焼した。しかし一同無事。 姉さんと圭介君は、益兄さんの勤務し....
「旅日記から」より 著者:寺田寅彦
りばめた王冠のようにキラキラ光っている。ルビーやエメラルドのような一つ一つの灯は
濃密な南国の夜の空気の奥にいきいきとしてまたたいている。こんな景色は生まれて始め....
「芝刈り」より 著者:寺田寅彦
ように浮き立って新しい緑の芽を吹き始める。 梅雨期が来ると一雨ごとに緑の毛氈が
濃密になるのが、不注意なものの目にもきわ立って見える。静かな雨が音もなく芝生に落....
「藤の実」より 著者:寺田寅彦
それから十余|間を隔てた小さな銀杏も同様に落葉を始めた、まるで申し合わせたように
濃密な黄金色の雪を降らせるのであった。不思議なことには、ほとんど風というほどの風....
「日本人の自然観」より 著者:寺田寅彦
にはないと言うのである、そうして、こういう語彙自身の中に日本人の自然観の諸断片が
濃密に圧縮された形で包蔵されていると考えるのである。 日本における特異の気象現....
「大宇宙遠征隊」より 著者:海野十三
類の想像も及ばなかった大ムーア彗星へは? ムーア彗星の周囲は、まだ混沌漠々たる
濃密な大気に閉ざされていた。すでに、勿論ここから見る太陽は、夜空にきらめく一点の....
「クリスマス・カロル」より 著者:ディケンズチャールズ
ごくごく狭い方だのに、向う側の家並はただぼんやり幻影の様に見えたほど、戸外は霧が
濃密であった。どんよりした雲が垂れ下がって来て、何から何まで蔽い隠して行くのを見....
「関牧塲創業記事」より 著者:関寛
うを怠れり。故に小虫は多く集りて恰も煙の内にあるが如くにて、予が一身の四囲を最も
濃密に集りて、且つ眼も小虫の為めに塞り、十分に見る事能わざるを以て、小虫の此群集....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
めずに飛びまわって、私のまわりをくるくると舞いはじめた。 その集団はだんだんに
濃密になって、その廻転はだんだんに急激になって、わたしの頭の上にもむらがって来た....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
……。
それ今起こった! 要は一身のあらゆる深みから湧《わ》き出した。青黒色の
濃密な集団となった雲は、狂わんばかりに打ちはためく電に劈《つんざ》かれて、魂の地....
「序に代えて人生観上の自然主義を論ず」より 著者:島村抱月
ると、そろそろ本体を暴露して来はしないか。まず多くの場合に自分が生きる。よっぽど
濃密の関係で自分と他者と転倒しているくらいの場合に、いわば病的に自分が死ぬる。ま....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
むる処ですかな。あるいは、あなた方、先生の教えは、芸に熱して、男女間は淡泊、その
濃密|膠着でなく、あっさりという方針ででもおあんなさるか、一度内々で、と思った折....
「西航日録」より 著者:井上円了
は一物として見えず、ただ春草の平原をみたすのをみるのみである。車窓から人家の煙が
濃密になったと思ううちに、汽笛をならしつつ露都に入ったのであった。) 午後七時....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
かつきの眺めは最もすがすがしい。山の景色もあきらかに画かと思われ、湖のかがやきは
濃密に人を魅了した。(瑞の湖の眺め)) 客裏尋。(巴里偶成) (旅遊のうちに巴里....