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濃情
「濃情〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
濃情の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「芽生」より 著者:島崎藤村
の時、大きなテエブルを取囲《とりま》いた学士達から手厚い弔辞《くやみ》を受けた。
濃情な皆川医学士は、お房のために和歌を一首作ったと言って、壁に懸けてある黒板の方....
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
空をいま漉き出すように頭上の薄膜の雲は見る見る剥れつつあった。 何という新鮮で
濃情な草樹の息づかいであろう。緑も樺も橙も黄も、その葉の茂みはおのおのその膨らみ....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
いて、まず付き添いのもののいる別室の方に父が目をさますまで待った。持って生まれた
濃情が半蔵のからだからこんな気の鬱する病を引き出したのか、あるいは病ゆえにこんな....
「家」より 著者:島崎藤村
仙相手に立話をしている時なぞは、最早年頃の娘らしさが隠されずにある。彼女とても、
濃情な土地の女の血を分けた一人である。 三吉はお仙に言葉を掛けて、暫時そこに立....
「血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
い、鞣し革のような皮膚は、男の情緒を悩ますに足り、受け口めいた唇は、女形のように
濃情であった。結城の小袖に、小紋|縮緬の下着を重ね、厚板の帯を結んでいる。こんな....
「金狼」より 著者:久生十蘭
にして、 「ちょっといないたって、そんなにしょげるテはないでしょう。……どうも、
濃情極まれりですな。身体に毒ですぜ。……愛妻に気をもませてさ、久我さんもよくない....
「平賀源内捕物帳」より 著者:久生十蘭
ことを言われたとなると、どっちみちおさまりかねる気持になる。いわんや、あのような
濃情無比なお姫さまだからただではすまさない。路考が十年前に逢った時、二十八、九と....
「明暗」より 著者:岡本かの子
はまた時として、夫として、男性としての三木雄が妻として女性としての智子に注がれる
濃情ともなり、時には、一種の盲目の片意地となっても表われて智子に頼母しくも暗い思....
「バットクラス」より 著者:岡本かの子
クテールとはよく名を付けたものだ。これは熱帯国の木の実が焙じられた時、うめき出す
濃情な苦渋の色そっくりだ。酒であって珈琲、珈琲であって酒なのだ。夫人は霧の朝の蒼....
「雪の障子」より 著者:島崎藤村
たちに教えて見せて呉れた生命表現のおもしろさではある。あの不死の鳥のような鷺娘の
濃情が古い舞踊の一つとして今日まで残り伝えられているというのも、雪中の動きからだ....