濃紺[語句情報] » 濃紺

「濃紺〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

濃紺の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
さようなら」より 著者:田中英光
ち無邪気に大笑いし、次の停車場でぼくの手を引張るようにして降り、近くの洋品店で、濃紺のソックスを買い、その場で子供にするように穿かせてくれた思い出も、イヤになる....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
る玉樹の高い梢に百点千点黒い鴉をとまらして見たり、秋の入日の空樺色に※ずる夕は、濃紺濃紫の神秘な色を湛えて梢を距る五尺の空に唯一つ明星を煌めかしたり、彼の杉の森....
姥捨」より 著者:太宰治
肩をならべての外出であった。夫にはマントがなかった。久留米絣の着物にハンチング、濃紺の絹の襟巻を首にむすんで、下駄だけは、白く新しかった。妻にもコオトがなかった....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
各国選手入場――ABC順。 亜弗利加。みどりの上着に白のずぼん。 独逸。上、濃紺。下、白。 ブルガリアは騎兵だ。 加奈陀。上、白。下、赤。 智利は白。....
狼疾記」より 著者:中島敦
の意志を蹂躪《じゅうりん》し、彼からは全然独立した・意地の悪い存在のように、その濃紺の背広の襟《カラー》と短く刈込んだ粗い頭髪との間に蟠踞《ばんきょ》した肉塊―....
鼠坂」より 著者:森鴎外
騙して引き渡してしまうなんと云う為組は、外のものには出来ないよ。」こう云ったのは濃紺のジャケツの下にはでなチョッキを着た、色の白い新聞記者である。 この時|小....
巷説享保図絵」より 著者:林不忘
一方である。この、戦争のような地上に引きかえて、空は、残映から夜へ移ろうとして、濃紺と茜《あかね》との不可思議な染め分けだ。ゆうやけは徐々に納まって、水のような....
環礁」より 著者:中島敦
来た水の中に彼らの群がヒラヒラと揺れ動けば、その鮮やかな瑠璃色は、たちまちにして濃紺となり、紫藍となり、緑金となり、玉虫色と輝いて、全く目も眩《くら》むばかり。....
雪代山女魚」より 著者:佐藤垢石
に浮く艶やかに受ける印象と同じだ。魚体の両側に正しく並んだ十三個ずつの小判型した濃紺の斑点は、渓流の美姫への贈物として、水の精から頂戴した心尽くしの麗装に違いな....
スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
っていたが、やがてすっきりしたうす緑色になり、それからさらに頭上の空を染める様な濃紺に変っていった。斜めになった陽の光は、河岸のあちこちにそば立つ断崖のいただき....
わが童心」より 著者:佐藤垢石
ここでは山の姿のみを眺めて、別の機会に譲りたいと思う。 八ヶ岳の左手に、いつも濃紺の肌の色を、くっきりと現わした円錐形の高い山が、つつましき姿で立っているのを....
冒した者」より 著者:三好十郎
20 塔の上 (暗い夜空の、どこかに月が昇りかけたと見え、下の方から濃紺色にほのめいている中に、塔はポカリと浮いている。その上に、夜空に向って半ばシ....
墓が呼んでいる」より 著者:橘外男
れに、眼も遥かに下方へ下って、なんという素晴らしい眺めでしょう? 四周を紫色や濃紺の山々に画られた、夏草茂る盆地……ゆるやかな一面の大野原……しかもしかも、そ....