濃艶[語句情報] » 濃艶

「濃艶〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

濃艶の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「いき」の構造」より 著者:九鬼周造
で「派手娘江戸の下より京を見せ」という句があるが、調和も統一も考えないで単に華美濃艶《かびのうえん》を衒う「派手娘」の心事と、「つやなし結城《ゆうき》の五ほんて....
白蛇の死」より 著者:海野十三
太郎の胸を肩で小突いて、二人の時だけに見せる淫蕩な笑いを顔一杯に浮べていた。その濃艶な表情が、まだはっきりと国太郎の眼に残っているのに―― すぐに紙入れを取っ....
怪僧」より 著者:田中貢太郎
を執り落そうとして気が注いた。 女は澄ましてその前に来て静に茶を置いた。面長な濃艶な頬から鼻にかけて生なまとした見覚えがあったが、女が余り澄ましているので、も....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
非常に猛烈な不可解の毒薬をそのからだのうちに沁み込ませてしまったのである。彼女の濃艶は彼の心を狂わせるが、それは愛ではない。彼はまた、彼女の肉体にみなぎるように....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
、庇、その他造作の一|部は丹塗り、と言った具合に、とてもその色彩が複雑で、そして濃艶なのでございます。又お床の間には一|幅の女神様の掛軸がかかって居り、その前に....
六月」より 著者:相馬泰三
裏通りの方ではまた、どこか近くの料理屋に宴会でもあって、それへ招かれでもしたのか濃艶におめかしした芸者衆が幾人も幾人も自動車で運ばれて通っていた。 曽根は(誰....
怪しの館」より 著者:国枝史郎
方欠点とは思われたが、一方反対にそのために、姿が非常に美しく見えた。全体の様子が濃艶というより、清楚という方に近かったが、また内心に燃え上がっている、情熱の火を....
大鵬のゆくえ」より 著者:国枝史郎
に坐っていてもこれが男とは思われない。受け口の仇っぽさ、半四郎より若いだけに一層濃艶なところがある。 「小次郎さん小次郎さん」 階下から誰か呼ぶ者がある。 「....
大捕物仙人壺」より 著者:国枝史郎
行った。 義哉から見たお錦という女は、どうにも不思議な女であった。華美な身装、濃艶な縹緻、それから推すと良家の娘で、令嬢と云ってもよい程であったが、その大胆な....
前記天満焼」より 著者:国枝史郎
の鮫島大学の前に、膝を崩して坐っているのは、ちょっと言葉に云い表わせないような、濃艶さを持った女であった。薄紫の単衣、鞘形寺屋緞子の帯、ベッタリ食っ付けガックリ....
私の洋画経歴」より 著者:小野佐世男
くような明るい喜劇で、ここに現れる美人軍をセンネット・ガールといって海水着一枚に濃艶な肉体をわずかに包みピチピチしたアメリカ美人軍には、にきび華やかなりし僕には....
墓が呼んでいる」より 著者:橘外男
楽しい夢を破られたような気がしたのは、事実です。が、日が過ぎるにつれて、優しくて濃艶な姉もいいけれど……もちろん堪らなく魅惑的ですけれど、勝気で気品の高い妹の眸....
中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
れほど多くは取られていないのであって、自然観照をも人生観照をも、共に錦繍のように濃艶に、屏風絵のごとく豪奢に、または絵巻物のようにあわれふかくしたものが、特に丹....
蛇性の執念」より 著者:大倉燁子
何となく老けました。美しい人の疲れたのはまた風情のあるものですが、ダリヤのように濃艶だった綾子さんが、まるで夕闇に浅黄桜を仰ぎ見るような物寂しさに変っては、風情....
俳句の作りよう」より 著者:高浜虚子
にゆえ白木の弓といったかというに、これも秋風そのものの性質からきた感じで、春風の濃艶で赤や青やくさぐさの色を連想するのと反対に、秋風は白々として何の色もない感じ....