濡れ縁[語句情報] »
濡れ縁
「濡れ縁〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
濡れ縁の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大衆文芸作法」より 著者:直木三十五
び石に遠退かせて、向うに白湯気をあげている風呂場の中へかくれました。 それを、
濡れ縁の端から見送っていたお蝶は、彼の姿が隠れると、キッと眠くばりを変えて、部屋....
「新版 放浪記」より 著者:林芙美子
為にバットを二箱買う。福神漬を五十匁買う。
帰ってみると、母は朝陽の射している
濡れ縁のところで手鏡をたてて小さい丸髷《まるまげ》をなでつけていた。男は、べっと....
「心の河」より 著者:宮本百合子
った。六畳の部屋は、短い鍵の手の廊下で離れのように庭に突出ている。保夫は、正面の
濡れ縁に向って机を据えていた。夜の、何か濃い液体のような闇は、冴えた電燈が煌々と....
「菊人形」より 著者:宮本百合子
ゆきは、その家で縫物をしていた。おゆきが針箱やたち板を出しかけている部屋のそとに
濡れ縁があって、ちょいとした空地に盆栽棚がつくられていた。西日のさしこむ軒に竹す....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
人声……。
その最中に、仙之助はちょっと厠《かわや》へ立ったのだった。
竹の
濡れ縁づたいに用をすまして、その帰りだった。
一枚しめ残した雨戸のあいだから手....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
その一隅……生い繁る老樹のかげに、風流な柴垣をめぐらした一棟がある。
竹の
濡れ縁に煙草盆を持ちだしていた司馬道場の御後室、お蓮様は、
「まあ、急にひどい吹....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
荒い紙に、上に紅葉の枝をさし交し、侘住居をあらわす一本の自然木の柱、壁のつり棚、
濡れ縁があり、壁には傘が吊られ棚に香炉がくゆり、太刀がかけてある。ぬれ縁ぎわに机....
「怒りの虫」より 著者:豊島与志雄
茶花科の常緑樹を主として植え込み、空池をあしらった庭、その一部を袖垣で仕切って、
濡れ縁をめぐらしてある奥の室には、まだ炬燵が拵えてあった。二人には馴染みの深い室....
「棲霞軒雑記」より 著者:上村松園
んだ金魚を庭の一隅に埋めて小さな石のお墓をたてて母にその仕末を報告した。 母は
濡れ縁に立って困った顔をしながら私に言った。 「お墓たててやるのはええことやが、....
「痀女抄録」より 著者:矢田津世子
啜り了えると立って、勝手元から水の張ったバケツを下げてきて、湯帷子の裾をからげて
濡れ縁のところから庭へ水を打ちはじめた。 庭というても四坪たらず、紅葉の木に桃....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
か、聞き捨てならぬことを申しおったな」 「ま。それへお腰かけ下さりませ。いや亭の
濡れ縁も、こう朽ちていては危ない。……こなたの石にでも」 チリを払って、ひざま....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
を極めていた。 「ち、うるさいなあ」 ここの部将らしい虎ヒゲの男だった。一堂の
濡れ縁に腰かけて、どなっていた。 「ギャアギャアと、いつまで餓鬼を泣かせておくか....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
音がした。 高徳はすばやく高廊下の下に身をかがめた。が、紙燭をかざして、中坪の
濡れ縁を通りかけた人影は、なにか不審なと、すぐ異を感じていたらしく、ふと、たたず....