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「濡れ鼠〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

濡れ鼠の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
二十世紀旗手」より 著者:太宰治
に時間外、規定の時を七分すぎて居ります。料金倍額いただきましょう。私はたと困惑、濡れ鼠のすがたのまま、思い設けぬこの恥辱のために満身かっかっとほてって、蚊のなく....
令嬢アユ」より 著者:太宰治
釣竿を固く握って、「あら、あら。」と言いながら岸に這《は》い上って来た。まさしく濡れ鼠のすがたである。白いドレスが両脚にぴったり吸いついている。 佐野君は、笑....
動かぬ鯨群」より 著者:大阪圭吉
何でもない、正真正銘の小森安吉だった。霧に濡れてかそれとも潮をかぶったのか、全身濡れ鼠になっていた。女は躍りかかるようにして、抱きついて行った。 けれども生き....
わが町」より 著者:織田作之助
れるだけであった。 たちまち栄養不良に陥ったが、おまけに雨期になると、早朝から濡れ鼠のまま十時間働いてくたくたに疲れたからだで、着がえもせず死んだようになって....
石狩川」より 著者:本庄陸男
るような事実なのだ。だから彼らの渡世では、神聖な儀式になっている建前から、こんな濡れ鼠のような恰好《かっこう》で帰って行かれるわけはないのだ。意識がはッきりする....
」より 著者:鷹野つぎ
がて破れ、突風は私のベッドにまず一撃をあたえて、花瓶も金魚鉢も吹き飛ばした。私は濡れ鼠となったが、およそ雨を凌げる衣類や蚊帳までかぶっているうちに、硝子の破れ目....
東京要塞」より 著者:海野十三
救命者になって、酔漢を助けながら、のそのそと堀から上ってきた。二人とも泥まみれの濡れ鼠であった。 「おーい、しっかりしろ。どうしたんだ。傷は浅いぞ。いまどこかの....
香奠」より 著者:豊島与志雄
す。それは、台所に転ってる野菜についてです。 或る寒い雨の日、彼が例の通り半ば濡れ鼠になって学校から帰って来た時、何かの煮物のために、釜の下に火が燃えてたもの....
山の神殺人」より 著者:坂口安吾
を加えた三名が平作にひきつれられて警察を出た。 ところがそれから三四十分後に、濡れ鼠の平作がただ一人蒼い顔で警察へ駈けこんだ。 神様をだます人々 ....
四国遍路日記」より 著者:種田山頭火
さぶ、奥鞆町で泊るより外なくなったが、どの宿屋でも泊めてくれない、ままよとばかり濡れ鼠のようになって歩きつづける、途中どうにもやりきれなくなり、道べりの倉庫の蔭....
顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
だしてしまい、 「は、は、は……佐原屋さん、ひどい目にあいなすったね。それじゃア濡れ鼠どころじゃない、まるで、濡《ぬ》れ仏《ぼとけ》だ」 和泉屋が言うと、日進....
小説 円朝」より 著者:正岡容
した」 ああなるほど、そうだったのか、師匠のこのけさの心持は――。寒さも忘れて濡れ鼠のまま小圓太はお辞儀をした、またポタリポタリ雫が群がるきんぽうげの中へと落....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
のも一つの遊びです。野辺へ出てあちらへ走りこちらへ走り、時には水の中に没り込んで濡れ鼠になったその着物を脱いで乾かし、自分は裸体で走って居る子供を折々見るです。....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
包んでしまった。 めう……めうおおお……めう……めうおおお…… それこそまた濡れ鼠になって、向うの向うの庁舎の方へと、いっさんに駈け出す私たちであった。 ....
わが町」より 著者:織田作之助
れるだけであった。 たちまち栄養不良に陥ったが、おまけに雨期になると、早朝から濡れ鼠のまま十時間働いてくたくたに疲れたからだで、着がえもせず死んだようになって....