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濫する
「濫する〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
濫するの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「ろまん灯籠」より 著者:太宰治
、この本をひらく。たちまち花、森、泉、恋、白鳥、王子、妖精《ようせい》が眼前に氾
濫するのだそうであるが、あまりあてにならない。この次女の、する事、為《な》す事、....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
亦例の如し。大三十日以来腹ヤミにて、夜も元旦朝も起され、たいへんだった由。巷に汎
濫する食料品のいかがわしさ以て知るべし。 ◯夜は親子六人、八畳の炬燵を囲んで、雑....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
たのは四月十三日であった。 然るに、元の大徳二年の春、潮が塩官州をおかして、氾
濫すること百余里、その損害は実におびただしく、潮は城市にせまって久しく退かないの....
「温泉」より 著者:梶井基次郎
あげた、地下牢のような感じの共同湯であった。その巌丈な石の壁は豪雨のたびごとに汎
濫する溪の水を支えとめるためで、その壁に刳り抜かれた溪ぎわへの一つの出口がまた牢....
「ジャーナリズム雑感」より 著者:寺田寅彦
れ積み上げられて行く光景を見ていたとき、なるほどこれではジャーナリズムが世界に氾
濫するのも当然だという気がしないではいられなかった。あまり感心したために機械油で....
「天災と国防」より 著者:寺田寅彦
の水道貯水池の堤防でも決壊すれば市民がたちまち日々の飲用水に困るばかりでなく、氾
濫する大量の流水の勢力は少なくも数村を微塵になぎ倒し、多数の犠牲者を出すであろう....
「天馬」より 著者:金史良
町通りはいくら午前中でも明菓あたりから通り出口の方にかけては、人々の群でいつも氾
濫する程に雑沓する。そそっかしく下駄を鳴らして歩く内地人(日本人、以下同じ)や、....
「後光殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
面の低い池溝の中へ一度に押し出すので、岩の尽きた堂の左側に来ると、ドッと地上に氾
濫する。その水勢が地上の細かい砂礫を動かして、堂の左側から胎龍の背後にかけて、そ....
「意欲の窒息」より 著者:豊島与志雄
を感じます。そしてそれをただ容れてるだけです……。而も常に容れてるわけでなく、氾
濫することさえあります。」 「私は自ら選択することが出来ません。さ迷ってるあらゆ....
「北京・青島・村落」より 著者:豊島与志雄
ている。雨期に大雨があれば、水は地面を掘って自由な通路を作り、やがて平野の上に氾
濫する。些少の低地や温地帯には、長く停滞して湖水の面影をなす。 こうした河北平....
「非情の愛」より 著者:豊島与志雄
秋から初冬へかけて、彼地では、楊子江下流地域に、ドザハ(大石蟹)と称する川蟹が氾
濫する。先年私は上海に行ってた時、殆んど毎日のように、彼と一緒にその川蟹を食べた....
「魔都」より 著者:久生十蘭
早く壁際のスイッチを押す。瞬間、忌々しいほどに明るい光がこの小さな料理場の中に氾
濫する。
真名古の真向いに、すこし蒼ざめて、腕組みをして突っ立っているのは紛れ....
「自力更生より自然力更生へ」より 著者:三沢勝衛
石の話では、上伊那郡伊那里村地方では、そこに流れている三峯川が年々のように氾
濫するので、大変あの地方の人々は迷惑を蒙っているようでございますが、しかし一方に....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
量以上の事を敢てしたい。
あれと闘って勝ちたいのだ。
それは出来る事だ。あの汎
濫する性質はあっても、
どんな丘陵でもあると、避けて滑って通る。
いかに傍若無人....
「牛鍋からすき焼へ」より 著者:古川緑波
は皆、関西風だった。 そのうちに、戦争。それが済んで、東京中に、食いもの屋が氾
濫するに至ったが、さて、割合に、スキヤキ屋は、数が多くない。 築地に、夕ぎりと....