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濶
「濶〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
濶の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
ひたたれ》に梨打《なしうち》の烏帽子《えぼし》をかけて、打ち出しの太刀《たち》を
濶達《かったつ》に佩《は》いた、三十ばかりの年配で、どうやら酒に酔っているらしい....
「彼」より 著者:芥川竜之介
。彼はいつも床《とこ》の上に細い膝《ひざ》を抱《だ》いたまま、存外《ぞんがい》快
濶《かいかつ》に話したりした。しかし僕は部屋の隅に置いた便器を眺めずにはいられな....
「彼 第二」より 著者:芥川竜之介
え僕よりは仕合せだよ。何しろ君も知っている通り、……」
僕は咄嗟《とっさ》に快
濶《かいかつ》になった。
「ああ、ああ、聞かないでもわかっているよ。お前は『さま....
「煙管」より 著者:芥川竜之介
い。――斉広は、何か用が出来たのかと思ったので、煙管《きせる》をはたきながら、寛
濶《かんかつ》に声をかけた。
「何用じゃ。」
「ええ、宗俊《そうしゅん》御願がご....
「湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
越しにちょっと僕の顔を見たぎり、無頓着に筆を揮《ふる》ったらしかった。
そこへ
濶達《かつたつ》にはいって来たのは細い金縁の眼鏡をかけた、血色の好い円顔の芸者だ....
「捨児」より 著者:芥川竜之介
でしょう。女が勇之助を抱き上げて、しばらく泣き声を堪《こら》えていた時には、豪放
濶達《ごうほうかったつ》な和尚の眼にも、いつか微笑を伴った涙が、睫毛《まつげ》の....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
外である。)且《か》つ又恋はそう云うもののうちでも、特に死よりも強いかどうか、迂
濶《うかつ》に断言は出来ないらしい。一見、死よりも強い恋と見做《みな》され易い場....
「或る女」より 著者:有島武郎
がややすがすがしくなった。木部はやせたその右肩を癖のように怒らしながら、急ぎ足に
濶歩《かっぽ》して改札口の所に近づいたが、切符を懐中から出すために立ち止まった時....
「或る女」より 著者:有島武郎
そういわれてみると葉子はきょうが天長節なのを思い出した。葉子の心はなおなお寛
濶《かんかつ》になった。
倉地が部屋を出ると葉子は縁側に出て手欄《てすり》から....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
《とっかく》まで行ってまた立停った。遙か下の方からは、うざうざするほど繁り合った
濶葉樹林《かつようじゅりん》に風の這入《はい》る音の外《ほか》に、シリベシ河のか....
「私の父と母」より 著者:有島武郎
たということである。こうして若い時から世の辛酸を嘗めつくしたためか、母の気性には
濶達《かったつ》な方面とともに、人を呑んでかかるような鋭い所がある。人の妻となっ....
「犬」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
来るだけ優しい声で呼んだ。それでも来ないので、自分が犬の方へ寄って来た。しかし迂
濶に側までは来ない。人間の方でも噛まれてはならぬという虞があるから。 「クサチュ....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
しあれは……」 僕はバラックの壁にかけた、額縁のない一枚のコンテ画を見ると、迂
濶に常談も言われないのを感じた。轢死した彼は汽車の為に顔もすっかり肉塊になり、僅....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
莫逆の友なり、足下の事は書中にて承知致したり、心置きなくまず我方に居られよ」と快
濶なる詞有難く、「何分宜しく願い申す」と頭をあげて主公の顔を見て予は驚きたり。主....
「瘠我慢の説」より 著者:石河幹明
てこれがために無益の挙動を演じたるものというの外なけれども、勝氏は決してかかる迂
濶の人物にあらず。思うに当時|人心激昂の際、敵軍を城下に引受けながら一戦にも及ば....