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濾過
「濾過〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
濾過の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
ってのみ認識せられる。一つの事象が知識になるためにはその事象が一たび生活によって
濾過されたということを必要な条件とする。ここに一つの知識があるとする。私がそれを....
「石狩川」より 著者:本庄陸男
語ることは、彼にとってもうれしい思いであった。刻下の労苦はどこかに押しやられて、
濾過《ろか》された、花のような思い出だけが浮んでいた。
「うん」
「奥方さまはど....
「イズムの功過」より 著者:夏目漱石
同時に多くのイズムは、零砕《れいさい》の類例が、比較的|緻密《ちみつ》な頭脳に
濾過《ろか》されて凝結《ぎょうけつ》した時に取る一種の形である。形といわんよりは....
「ルクレチウスと科学」より 著者:寺田寅彦
。また海水のごときは水の円滑な元子の間に塩の粗面的な元子が混合しているが、地下で
濾過されれば、水だけが通過すると言っている。これらもおもしろい、一概に笑ってしま....
「自由画稿」より 著者:寺田寅彦
》させるのだそうである。ここにも造化の妙機がある。またある虫ではこれに似たもので
濾過器《ろかき》の役目をすることもあるらしい。 もしかわれわれ人間の胃の中にも....
「地球要塞」より 著者:海野十三
室内の空気の臭《にお》いが、すっかりちがってきた、薬品くさい。もちろん、それは
濾過層《ろかそう》を一杯にうずめている薬品の臭いであった。 「三隻よりなる哨戒艦....
「世界の寡婦」より 著者:宮本百合子
異様に感じ、気味わるく思うことだろう。こんなに本気に、こんなに美しく、悲しみから
濾過された平静と希望とをもって生きようとしているのに、「未亡人」――。人生建設を....
「今昔ばなし抱合兵団」より 著者:海野十三
かしA液とB液とを一緒に流しては、さっき云ったとおりに爆発が起るから、その前に、
濾過器を据えつけて、A液とB液とを濾し分け、別々の排流管に流しこまなければいけな....
「「紋章」の「私」」より 著者:豊島与志雄
として書かれているが、地の文と同じ地位を占めていることである。言葉は一度何物にか
濾過されて、言葉それ自体の生命を失い、変貌して地の文の中にとけこみ、そこで新たな....
「高千穂に思う」より 著者:豊島与志雄
れている。 濶葉樹の天然林には、柔かな神秘の影がこもる。鬱蒼たる茂みが日の光を
濾過して、美妙な明るみを内にはぐくむ。道にはい出してる蚯蚓は、長さ尺余のものがあ....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
あり、満ちあふれて流れてることである。フランスにおいては、音楽はパストゥール式|
濾過器《ろかき》によって、ていねいに口をふさいだ瓶《びん》の中に、一滴ずつ集めら....
「美の日本的源泉」より 著者:高村光太郎
自生の域に達していない。聖徳太子が法隆寺の建築其他に於て成し遂げられた大陸分子の
濾過摂取の妙はまだ十分彫刻に於ては現れていない。天象風土に直接関係ある建築の方が....
「肌の匂い」より 著者:三好十郎
私を見つめている兩眼が急に大きくなり、やがて、その兩眼から、まるで集つて來た血を
濾過でもしたような調子に大粒の涙の玉が一つずつ、ポロリと出た。それでも怒つたよう....
「古寺巡礼」より 著者:和辻哲郎
ゆる歓楽にたましいの陰影を与えずにはいない。だからインドの肉感的な画も、この涙に
濾過せられる時には、透明な美しさに変化する。そうしてそこにギリシア人の美意識がは....
「ロザリオの鎖」より 著者:永井隆
銅とアルミをまちがえて、部長先生になぐられた」というのがある。これはレントゲン線
濾過板の銅とアルミニウムとを取りちがえたときの出来事で、治療室勤務の者がたいてい....