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「瀕死〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

瀕死の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
憊《こんぱい》した心には、それさえ時々はわからない。目の前には、さまざまな幻が、瀕死《ひんし》の彼をあざけるように、ひっきりなく徂来《そらい》すると、その幻と、....
玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
わね」などと返事をしていた。しかし玄鶴に相談することは、――お芳に勿論未練のある瀕死《ひんし》の父に相談することは彼女には今になって見ても出来ない相談に違いなか....
」より 著者:芥川竜之介
《あおむ》けになりながら、同じ言葉を繰返した。男の頭のどこかには、未《いまだ》に瀕死《ひんし》の赤児が一人、小さい喘《あえ》ぎを続けている。と思うとその喘ぎは、....
子供の病気」より 著者:芥川竜之介
かN君の同情を強《し》いたような心もちがした。同時に体《てい》の好《い》い口実に瀕死《ひんし》の子供を使ったような気がした。 N君の帰ったか帰らないのに、伯母....
クララの出家」より 著者:有島武郎
の教友がクララを待ち受けていた。今まで氷のように冷たく落着いていたクララの心は、瀕死者がこの世に最後の執着を感ずるようにきびしく烈しく父母や妹を思った。炬火の光....
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
神々との戦闘が始まると双方に夥しい戦没者ができる。そうしてかの火の神ハイムダルも瀕死の重傷を受けるであろう。すると太陽もまた光を失い、天の穹窿は割れ、地底の火を....
空襲葬送曲」より 著者:海野十三
?」 「それは、帆村君が研究している読心術ですな。丁度、塩原参謀が、その少女と、瀕死の重傷を負っていた弟の素六というのを、放送局舎の中から助け出したんです。帆村....
蠅男」より 著者:海野十三
ている。――やあ、これは村松検事どの。貴方がもっと早く来て下されば、なにもこんな瀕死のサーカスをごらんに入れないですんだのですよ」 看護婦の君岡に抱えられ再び....
少年探偵長」より 著者:海野十三
でいるようだ。 春木は、今はこれ以上、老人をなやませては悪いと思った。そこで、瀕死の老人の指した方向へ走った。大きな岩が出ていた。滝つぼとは反対の方だ。 彼....
奇賊は支払う」より 著者:海野十三
ぎで自らベールをかきあげ、それから顔全体を包んでいた樹脂性マスクをすぽんと脱ぎ、瀕死の狼が喘いでいるような口へ、コップのふちを嵌めこんだのだった。彼の咽喉がうま....
恐竜島」より 著者:海野十三
いたしましょう。どうです、すばらしい金もうけじゃあないですか」 「とんでもない。瀕死《ひんし》の人間が、そんなにはでに手足をばたばたさせられるものか。たとえ、そ....
火薬船」より 著者:海野十三
ルマンに、口汚くしかられて、船員たちはあわてて、別の倉庫の方へかけ出していった。瀕死のハルクは、ただ一人、とうとうこの倉庫のおくに、とじこめられてしまった。まっ....
発明小僧」より 著者:海野十三
味無い。」 小僧「……ことは無くて大有りです。あンさんは、昼間の五分の居睡りは、瀕死の病人を蘇らせるということを御存知ですか。」 社員「ウソをつけ!」 小僧「イ....
競馬」より 著者:犬田卯
た人間の顔は汗と埃りにまみれながらも太陽の如くかがやいていた。負けた人間のそれは瀕死の病人のように蒼ざめて、秋の木の葉のようにぶるぶるとふるえていた。 仙太は....
まあまあ居士の弁」より 著者:浅沼稲次郎
う学生的情熱でやったんだから書けない」と断った。それからは、殴る、打つ、蹴るで、瀕死の状態に陥ってしまったが遂に謝り状は書かずに朝迄頑張ってコブだらけの顔でビッ....