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瀝青
「瀝青〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
瀝青の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「蜃気楼」より 著者:芥川竜之介
通る時に「どっこいしょ」と云うように腰をかがめ、砂の上の何かを拾い上げた。それは
瀝青《チャン》らしい黒枠の中に横文字を並べた木札だった。
「何だい、それは? S....
「梓川の上流」より 著者:小島烏水
ような虚空を突き、空のような水の面を伺い、等深線の如く横さに走っている、森の中の
瀝青《チャン》のような、玄《くろ》ずんだ水溜りは、川流が変って、孤り残された上へ....
「冬の蠅」より 著者:梶井基次郎
んでいた。しかし心は沈んだまますこしも酔っていなかった。 強い潮の香に混って、
瀝青《チャン》や油の匂いが濃くそのあたりを立て罩《こ》めていた。もやい綱が船の寝....
「高山の雪」より 著者:小島烏水
アルプスの飛騨山脈南部などでは、硫黄岳という活火山の降灰のために、雪のおもてが、
瀝青《チャン》を塗ったように黒くなることがある、「黒い雪」というものは、私は始め....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
、そばのラジウム含有物によって着色されたのではないかと、推察する。ラジウム、含有
瀝青土《ピッチブレンド》※――私は、神秘境「|天母生上の雲湖《ハーモ・サムバ・チ....
「オリンポスの果実」より 著者:田中英光
に出て、コオチャア黒井さんが昼寝している横の、デッキ・チェアに腰《こし》を降し、
瀝青《チャン》のように、たぎった海を見ています。暫《しばら》く経《た》ってから、....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
水は帷幕の中に入って、寝台の塗料の下にグイと洋刀の刃を入れた。すると、下にはまた
瀝青様の層があって、それに鉛筆の尻環を近づけると、微かながらさだかに見える螢光が....
「後光殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
朔郎と云う洋画学生の室で発見された所なんだ」 一同は本堂に向ったが、その途中、
瀝青色をした大池の彼方に、裏手の雫石家の二階が倒影している。本堂の左端にある格子....
「宝島」より 著者:佐々木直次郎
った。「それに、あの医者なんか、へん、船乗のことなんぞ何を知ってるんだ? 己ぁ、
瀝青みてえに暑くって、仲間の奴らあ黄熱でばたばた斃れる処にもいたことがあるし、地....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
ルーへ行く道の角の所に立ってる一軒の破屋《あばらや》のうしろに隠れたようにして、
瀝青《チャン》を塗った柳編みの屋根のついてる一種の従軍行商人の小さな車のようなも....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
やなほど乱雑であった。およそ破れさけた道化服ほど無気味なものはない。破れた毛帽、
瀝青《チャン》を塗った庇帽《ひさしぼう》、恐ろしいきたない毛織りの頭巾帽《ずきん....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
あらゆる物を武器となす。水中燃焼物もアルキメデスの名を汚すものではなく、沸騰せる
瀝青《チャン》もバイヤールの名を汚すものではない。戦争はすべて恐怖であり、武器を....
「死刑囚最後の日」より 著者:豊島与志雄
として首吊台にさらしておく。しかし天気の不順のために死体がいたむことがあるので、
瀝青《れきせい》を塗った布で死体を注意深く包んで、たびたび手入れをしないでよいよ....
「加利福尼亜の宝島」より 著者:国枝史郎
土はかつて一度も外敵に襲われたことはない。……俺達の国は金持ちだ。黄金、真珠、輝
瀝青、それから小判大判が山のように隠されてある。俺達セリ・インデアンは、祝福され....
「女房ども」より 著者:神西清
跣足で、下袴一枚の姿です。私に飛びかかって来て、両手で馬勒に縋りついて、顔も手も
瀝青だらけにしながら身悶えて泣くのです。……『あんな厭な男とは一緒にはいられない....