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「瀬踏み〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

瀬踏みの前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
カインの末裔」より 著者:有島武郎
ると雪道がついていた。踏み堅められない深みに落ちないように仁右衛門は先きに立って瀬踏みをしながら歩いた。大きな荷を背負った二人の姿はまろびがちに少しずつ動いて行....
白蟻」より 著者:小栗虫太郎
ったことに、彼女は気がついた。そして、新しい勇気を振り起すためには、何より、その瀬踏みの跡を検分することだと思った。催眠中の硬直がそのまま持ち越され、屍体は石の....
山羊髯編輯長」より 著者:夢野久作
事を人の噂か何かで知っている。だから家内の様子を見定めるつもりで……泥棒に這入る瀬踏みのつもりで、夜遅く、老爺がタッタ一人で寝ているところを、近所へ気取られない....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
江と美濃と信濃の間の要所要所を通り過ぎたことは、それだけでも東山道軍のためによい瀬踏みであったと言わねばならぬ。なぜかなら、西は大津から東は追分までの街道筋に当....
安重根」より 著者:谷譲次
ですかね。豪勢なもんさね。それで、なんですかい、ハルビンへおいでになるのは、その瀬踏みってわけでしょうかね。なんだか満鉄の整理に見えるとかって聞きましたが――。....
新釈諸国噺」より 著者:太宰治
一ばん元気のいいのを、あなたのために取って置きました。せがれの勝太郎を先に立て、瀬踏みをさせますから、あなたは何でもただ馬の首にしがみついて勝太郎の後について行....
疑問と空想」より 著者:寺田寅彦
を呼びかわしまた互いに警告し合うばかりでなくあるいはその反響によって地上の高さを瀬踏みするためにいくぶんか役立つのではないかと思われるし、またとんびが滑翔しなが....
社会時評」より 著者:戸坂潤
こそ提出したので、帝展や院展、二科の出品などでも多少はそうかも知れないが、大体を瀬踏みをしてからでないと、学位論文はウッカリ出せないものである。 尤も杉村氏の....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
容易にそのお薬園の茂みを立ち出でようとはしないらしい。それと一つは、まだ今晩のは瀬踏みに過ぎない。あわよくば進めるところまで進んで、本丸を突き抜いて、坂下御門を....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
査は、いずれ相当の人数を伴うて、測量式に行う時があるべしとして、今日はまず海岸の瀬踏みのようなものです。 行くことおよそ二里と覚しい頃に、この島が予想したより....
万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
咋の海朝なぎしたり船楫もがも」(巻十七・四〇二五)、「直に行かず此ゆ巨勢路から石瀬踏み求めぞ吾が来し恋ひて術なみ」(巻十三・三三二〇)、「ほととぎす鳴きて過ぎに....
人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
囁きから遁れようとして、最初の夜のことを想い出した。そして、何より一応は、現場の瀬踏みをしなくてはならぬと考えた。 と云うのは、あの時小六と逢痴との間は、玻璃....
増上寺物語」より 著者:佐藤垢石
を襲って役者を面喰らわせることになったのであるが、土方らが予め増上寺一山の内容を瀬踏みしておいて、別当の方へ御用金を申し付けたのであったら、随分たんまりと尊王方....
わが寄席青春録」より 著者:正岡容
いう下らないところ、あくまで私は文士くずれの落語家だった。さてそういう風に売文の瀬踏みにちょいちょい上京していた前年の秋、私は今の八代目林家正蔵君の雑司ヶ谷の家....