瀬音[語句情報] » 瀬音

「瀬音〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

瀬音の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
。彼等の枕に響いたのは、ちょうどこの国の川のように、清い天《あま》の川《がわ》の瀬音《せおと》でした。支那の黄河《こうが》や揚子江《ようすこう》に似た、銀河《ぎ....
」より 著者:徳田秋声
どの部屋もひっそりと寝静まった夜更に、お増の耳は時々雨続きで水嵩の増した川の瀬音に駭かされた。電気の光のあかあかと照り渡った東京の家の二階の寝間の様などが、....
石狩川」より 著者:本庄陸男
女どもが嗚咽《おえつ》した。だが彼女らの泣き声は、草藪の底を流れるトウベツ川の瀬音にかき消された。川の水は、辛うじてここに辿りついたこれらの人間が、あんなに困....
谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
きまくって、林の中へ通りぬけ、栗の青葉にバサバサ音をさせて、その行く末は千曲川の瀬音をみだしている、立場の茶屋の前を、水がちょろちょろ流れているのは、さすがに気....
生活者としての成長」より 著者:宮本百合子
ない。語られていることにも種々様々の疑問があって、それをただしたいにも時の流れの瀬音は騒然としていて、そんなしんみりとした時間のかかるものの追究のしかたは昨今は....
死者の書」より 著者:折口信夫
の神わざと繋りのある点を、座談のように語り進んだ姥は、ふと口をつぐんだ。外には、瀬音が荒れて聞えている。中臣・藤原の遠祖が、天二上に求めた天八井の水を集めて、峰....
四国遍路日記」より 著者:種田山頭火
しい夕飯をみんないっしょにいただいたことである。 労れて、酔うて、ぐっすり寝た、瀬音も耳につかなかった。 十一月十八日 好晴、往復四里、おなじく。 山のよろし....
岩魚」より 著者:佐藤垢石
ら、そとの闇に吸い込まれるように、消え失せたのである。 窓の闇から、西川渓谷の瀬音が、ただ淙々と響く。 しばし荘然としていた賢彌は、われに返りうしろからつま....
香熊」より 著者:佐藤垢石
で登って行った。朝は、昧暗から次第に薄明に目ざめて行くのである。淡墨の霧の底に、瀬音ばかりを響かせていた楢俣沢は、夜が明けると白い河原を渓の両側に展げているのだ....
わが童心」より 著者:佐藤垢石
、春風が訪れても、木枯が吹きすさんでも、朝起きれば赤城、榛名の姿に接し、大利根の瀬音に耳を傾けつつ育ったのと同じであろう。 我々からみれば、東京はまことに殺風....
利根の尺鮎」より 著者:佐藤垢石
家も、馬も流れてきた。初夏の夜、しめやかな雨が降ると、東西の微風が訪れて、利根の瀬音を寝ている私の耳へ伝えてきた。その瀬音が忘れられぬ。 真夏がくると、川千鳥....
藤十郎の恋」より 著者:菊池寛
いるばかりであった。 灯を慕って来た千鳥だろう。銀の鋏を使うような澄んだ声が、瀬音にも紛れず、手に取るように聞えて来る。女も藤十郎も、おし黙ったまま、暫くは時....
木曽御嶽の両面」より 著者:吉江喬松
て、青葉がざわつき出す、川を隔てて前の谿が急に暗くなる、と雷鳴が聞え出して、川の瀬音がこれに響くかと思うと、大粒の雨が灰のような砂塵の上を叩いて落ち出した。馬は....
贋物」より 著者:葛西善蔵
との四人が、久助爺の村に耕吉には恰好の空家があるというので、揃って家を出かけた。瀬音の高い川沿いの、松並木の断続した馬糞に汚れた雪路を一里ばかりも行ったところが....