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瀰漫
「瀰漫〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
瀰漫の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「耽溺」より 著者:岩野泡鳴
ひッたり当て填る気がして、天上の果てから地の底まで、明暗を通じて僕の神経が流動|
瀰漫しているようだ。すること、なすことが夢か、まぼろしのように軽くはかどった。そ....
「柿の種」より 著者:寺田寅彦
見えるような気がした。 そうして腹が立った。…… いくらデモクラシーが世界に
瀰漫しても、ルビーと煉瓦の欠けらとが一つになるか、と、どなりたくなった。…… ....
「春六題」より 著者:寺田寅彦
日からであろう。生命の物理的説明とは生命を抹殺する事ではなくて、逆に「物質の中に
瀰漫する生命」を発見する事でなければならない。 物質と生命をただそのままに祭壇....
「俳諧の本質的概論」より 著者:寺田寅彦
が記紀の時代に現われて以来今日に至るまで短歌俳句はもちろん各種の歌謡民謡にまでも
瀰漫している。この大きな体系の中に古今を通じて画然と一つの大きな線を引いているも....
「魔王物語」より 著者:田中貢太郎
熊山の方に当ってもくもくと盛りあがったり崩れたりしていた鼠色の雲が、急に空一面に
瀰漫すると見る間もなく夕立模様となった。雷光がきらきらと眼を射て雷が鳴りだした。....
「西鶴と科学」より 著者:寺田寅彦
まれている。 これらは、西鶴一流とは云うものの、当時の日本人、ことに町人の間に
瀰漫していて、しかも意識されてはいなかった潜在思想を、西鶴の冷静な科学者的な眼光....
「方則について」より 著者:寺田寅彦
ひいては全太陽系全宇宙に影響するはずである。一本のマッチをすればその光は全宇宙に
瀰漫してその光圧は天体の運動に幾分の変化を生じなければならぬはずである。少なくも....
「氷河」より 著者:黒島伝治
、呻き、訴える声、堪え難いしかめッ面などが、うつしこまれたように、一瞬に、病室に
瀰漫した。血なまぐさい軍服や、襦袢は、そこら中に放り出された。担架にのせられたま....
「十二神貝十郎手柄話」より 著者:国枝史郎
て己楽しみ、美女を進めて将軍家を眩まし、奢侈と軟弱と贈収賄と、好色の風潮ばかりを
瀰漫させておる。……老中、若年寄、大目附、内閣は組織されていても、田沼一人に掣肘....
「明治の戦争文学」より 著者:黒島伝治
に東学党の乱が起って、これが導火線となって日清戦争が勃発するや、国内は戦争気分に
瀰漫されるに到った。そして多くの新聞(中央新聞、報知新聞、二六新聞等)雑誌(太陽....
「世界の裏」より 著者:国枝史郎
教の仮面をつけ、芸術のヴェールをかむって、反戦思想や敗戦主義を、感情的に、国民に
瀰漫させる程危険なことはない。厳に警戒すべきである。....
「皇海山紀行」より 著者:木暮理太郎
より楽に登れそうなので喜んだ。寝しなに雨戸の隙間からのぞくと灰色の鱗雲が空一面に
瀰漫して、生ぬるい風が吹いて来る。あまり面白くない天気だ。 明くる十七日の朝六....
「文化線の低下」より 著者:小川未明
とです。この悪い風潮は黙々として、自己の生産に従事しつゝある、あらゆる階級にまで
瀰漫せんとしつゝあります。 私は、児童芸術に没頭していますが、真に、児童の世界....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
どそうかも知れません。 人力以上にして、しかも、私たちにも備わり、天地の間にも
瀰漫している力、すなわち、飽くまで生き抜く力であります。信念、信仰によってこれを....
「秋の鬼怒沼 」より 著者:木暮理太郎
赤と黄と其間のあらゆる色とに染められて、朝暾落暉の光に炎と燃える雲の幾群が谷中に
瀰漫したようである。眤と見ていると丸く盛り上った一つ一つの梢は、大きな竈の中で渦....