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灌ぐ
「灌ぐ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
灌ぐの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
得ないんです、……時にだね、三輪ちゃん。」 とちと更まって呼んだ時に、皆が目を
灌ぐと、どの灯か、仏壇に消忘れたようなのが幽に入って、スーと民弥のその居直った姿....
「夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
……肉は取って、村一同|冷酒を飲んで啖えば、一天たちまち墨を流して、三日の雨が降
灌ぐ。田も畠も蘇生るとあるわい。昔から一度もその験のない事はない。お百合、それだ....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
響くのは、大樋を伏せて二重に城の用水を引いた、敵に対する要害で、地下を城の内濠に
灌ぐと聞く、戦国の余残だそうである。 紫玉は釵を洗った。……艶なる女優の心を得....
「楢重雑筆」より 著者:小出楢重
胃のふくれている或日の事、私は活動写真を見に入った、すると蛙の心臓へアルコールを
灌ぐ実写が写し出されたのであった、蛙の心臓が大写しになるのだ、ピクリピクリと動い....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
ある通り、村はずれの谷戸口を、明神の下あたりから次第に子産石の浜に消えて、どこへ
灌ぐということもない。口につけると塩気があるから、海潮がさすのであろう。その川裾....
「革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
ろり、と一ツずつ、女と、男とを見た。 彼は仰向けに目を瞑った。瞼を掛けて、朱を
灌ぐ、――二合|壜は、帽子とともに倒れていた――そして、しかと腕を拱く。 女は....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
腕なりに我が膝に突伏して、かッかッと咳をした。 十 その瞼に朱を
灌ぐ……汗の流るる額を拭って、 「……時に、その枕頭の行燈に、一挺消さない蝋燭が....
「政談十二社」より 著者:泉鏡花
けば、樹蔭なる崖の腹から二頭の竜の、二条の氷柱を吐く末が百筋に乱れて、どッと池へ
灌ぐのは、熊野の野社の千歳経る杉の林を頂いた、十二社の滝の下路である。 ....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
程、漁師町を繞ったり、別荘の松原を廻ったり、七八筋に分れて、また一ツになって海へ
灌ぐが、そこ行くとこれでも幅が二十間ぐらい、山も賦になれば、船も歌える、この様子....
「水の女」より 著者:折口信夫
えてよい。 産湯から育みのことに与る壬生部は、貴種の子の出現の始めに禊ぎの水を
灌ぐ役を奉仕していたらしい。これが、御名代部の一成因であった。壬生部の中心が、氏....
「雪霊記事」より 著者:泉鏡花
ますから。―― またその手で、硝子杯の白雪に、鶏卵の蛋黄を溶かしたのを、甘露を
灌ぐように飲まされました。 ために私は蘇返りました。 「冷水を下さい。」 も....
「学問の独立」より 著者:福沢諭吉
するは、些少《さしょう》の水をもって火に灌《そそ》ぐが如し、大火消防の法は、水を
灌ぐよりも、その燃焼の材料を除くに若《し》かずと。けだし学者のために安身の地をつ....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
りますな。それから末松の方へ、能登浦、第一歩の草鞋を踏むと、すぐその浜に、北海へ
灌ぐ川尻が三筋あって、渡船がない。橋はもとよりで、土地のものは瀬に馴れて、勘で渉....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
値がまた名物だ――と八郎は話しながら、鮒は重なって泳いでいても、人ごみに傘の雨が
灌ぐから、値の押合の間を、しばらく乾物屋の軒へ引込んだのであった。が、よくは分ら....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
、
肥えた牧場になっている高地も、魚の多い、澄んだ湖水も、
迂りながら急いで谷に
灌ぐ、無数の小川も、
下の牧場や、原や、谷合になっている、広い低地も、
そっくり....