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灑
「灑〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
灑の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「あらくれ」より 著者:徳田秋声
さ》などをしながら、仕事に就いていた。
彼らが食事をするあいだ、裏でお島の洗い
灑《すす》ぎをしたものが、もう二階の物干で幾枚となく、高く昇った日に干されてあっ....
「デンマルク国の話」より 著者:内村鑑三
りましたならば問題ははるかに容易であったのであります。天然の沙漠は水をさえこれに
灑《そそ》ぐを得ばそれでじきに沃土《よきつち》となるのであります。しかし人間の無....
「家」より 著者:島崎藤村
達は、いずれも素足に尻端折で、威勢よく井戸の水を汲んでいるのもあれば、如露で花に
灑いでいるのもあった。三吉は自分の子供に逢った。 「房ちゃん」 と正太も見つけ....
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
朝はまだ早かった。秋らしい光線が、枝葉のやや萎えかかった銀杏の街路樹のうえに降り
灑ぎ、円タクの※げて行く軽い埃も目につくほどだった。旅館は新宿のカフエ街の垠れの....
「黴」より 著者:徳田秋声
書きなどしていると、青蛙が鳴き立って、窓先にある柿や海棠林檎の若葉に雨がしとしと
灑いで来る。土や木の葉の匂いが、風もない静かな空気に伝わって、刺戟の多い都会生活....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
なた、大それた。」 そうだろう、題字は颯爽として、輝かしい。行と、かなと、珊瑚
灑ぎ、碧樹梳って、触るものも自から気を附けよう。厚紙の白さにまだ汚点のない、筆の....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
生は二月一日突然発病し僅々三十五時間で逝いた。二十余年に亘り、斯学の為めに心血を
灑ぎ、あまりの奮闘に精力を竭尽して斃れた先生は斯学における最大の偉勲者であること....
「ドナウ源流行」より 著者:斎藤茂吉
山中に発し、東へ流れ又北へ流れて独逸に入り Salzach と合して遂にドナウに
灑ぐのである。
灑ぐところに Passau の町がある。 ドナウが墺太利に入り東....
「リギ山上の一夜」より 著者:斎藤茂吉
一部が見える。この湖は此処から西南の方に章魚の如くにひろがっている大湖で、それに
灑ぐ川などが糸のように細くなって見えている。嶽鴉のような黒い鳥が一羽湖の方へ飛ん....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
石激」で旧訓イハソソグであったのを、考でイハバシルと訓んだ。なお、類聚古集に「石
灑」とあるから、「石そそぐ」の訓を復活せしめ、「垂水」をば、巌の面をば垂れて来る....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
》、三鈷、五鈷、その右に、二本の杓、飯食、五穀を供え、左手には嗽口《そうこう》、
灑水《しゃすい》を置いてあった。
部屋の壁には、青地に四印|曼荼羅《まんだら》....
「決闘」より 著者:神西清
くて味気なく来しかたの生を読み 私はおののき私はのろう、 いたく歎き にがい涙を
灑いでも 哀しい文字は洗うすべもない。 ――プーシキン 明日の朝よし殺されるに....
「八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
を斬る 玉梓 亡国の歌は残つて玉樹空し 美人の罪は麗花と同じ 紅鵑血は
灑ぐ春城の雨 白蝶魂は寒し秋塚の風 死々生々|業滅し難し 心々念々|恨何ぞ窮まら....
「父の墓」より 著者:岡本綺堂
ずれば果敢なき蝴蝶の夢なり。 然れども思え、いたずらに哭して慟して、墓前の花に
灑ぎ尽したる我が千行の涙、果して慈父が泉下の心に協うべきか、いわゆる「父の菩提」....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
なす岩石が突出した。其中には怒れる人の顔のような真蒼な岩もあった。百千人の生血を
灑ぎ掛けたような真赤な岩もあった。岩と岩との間は飛んで渡るより他はない、二人は蛇....