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火の見櫓
「火の見櫓〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
火の見櫓の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
た》で八百屋お七を出し物にしていたんです。ね、面白いじゃありませんか、ふだんから
火の見櫓にあがって、打てば打たるる櫓の太鼓、か何かやっていたもんだから、同じいた....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
すか……」 「ええ、あたいが、山へ行ってそっと連れてきたんですが……」 「昨晩、
火の見櫓の下で、盗賊を食い散らしたのはその狼だろう」 「あたいもそうだと思うんで....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
細目にあけて待ち構えています。 屋敷の庭には大きな池があって、池の向うには高い
火の見櫓が立っています。お松が夜更けて七兵衛の合図を待つ時分に、この
火の見櫓の上....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
してその強盗を追い散らし、皆さんを無事に助けて下さったけれど、あの泥棒共が、翌日
火の見櫓の下で、狼に食い殺されていましたっけ……ほら、あの時の、あの若いおさむら....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
て芝口のある商家、これも大事に至らず消し止めましたが、それから程経て、神明の前の
火の見櫓が焼け出したのは皮肉千万であります。 筋を引いて見れば、ちょうどこの四....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
方がございましたはずですよ。お隣が阿波の屋敷でございましょう、その阿波様の屋敷の
火の見櫓の上から、薩州のお屋敷の模様を、こっそりと探っておいでになったお方もあり....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
に押込んで、泊り合わせた兵馬のために傷つけられて逃げた、それが町の外《はず》れの
火の見櫓の下でおおかみに食われて死んでいた、罰《ばち》はテキ面だと人をして思わし....
「鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
って、火の見|櫓《やぐら》で鐘と板木《はんぎ》とあえ交《ま》ぜに叩き出した。この
火の見櫓はどこの屋敷にもあったもので、火事があると係の者がそれへ上って方角を見定....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
ね、ありそうでもあり、無さそうでもあり。目白の先生は旅行中でしたろうと思います。
火の見櫓が見えた二階の家もなくなってしまったわ。 十四日に菅谷が、そちらの安否....
「魔都」より 著者:久生十蘭
しまった。
「おい、ハッチソン」
もう返事はなかった。
長命寺の鐘がボーン。
火の見櫓の上に、いつも新派悲劇の幕切に見るあの新月が。
この時戛々と靴音も高く....
「随筆 寄席風俗」より 著者:正岡容
けの私には、なんともいい得ようはずがない。 「とろろん」のまくらで誰もがやるが、
火の見櫓へよびかけて訊くところがある。「火事は、どこだーい」と訊いて「吉原」とい....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
がる。所々に出水の土手|壊れや化けそうな柳の木、その闇の空に燈明一点、堂島開地の
火の見櫓が、せめてこの世らしい一ツの瞬きであった。 「親分」多市は、追いつくよう....