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火先
「火先〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
火先の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
ていることも聞いた。銀座通りの焼けていることも聞いた。警視庁が燃えあがって、その
火先が今や帝劇を襲おうとしていることも聞いた。 「しかしここらは無難で仕合せでし....
「雪之丞変化」より 著者:三上於菟吉
鰐《わに》も棲みそうな血潮の流れで、それが、フツフツと沸きたぎっているから、追う
火先きをのがれるために、それに飛び込むこともならぬ。
が、どうにも、背すじが焦....
「平凡」より 著者:二葉亭四迷
が衝《つ》と軒下を飛退《とびの》いたようだったが、軈《やが》て雪洞《ぼんぼり》の
火先《ひさき》が立直って、一道の光がサッと戸外《おもて》の暗黒《やみ》を破り、雨....
「革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
じて三分の一を吸うと、半三分の一を瞑目して黙想して過して、はっと心着いたように、
火先を斜に目の前へ、ト翳しながら、熟と灰になるまで凝視めて、慌てて、ふッふッと吹....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
日の曠衣裳を、そのままで、一方紫の袖の紋の揚羽の蝶は、革鞄に留まった友を慕って、
火先にひらひらと揺れました。 若奥様が片膝ついて、その燃ゆる火の袖に、キラリと....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
せんかい。以来、下町は火事だ。僥倖と、山の手は静かだっけ。中やすみの風が変って、
火先が井戸端から舐めはじめた、てっきり放火の正体だ。見逃してやったが最後、直ぐに....
「野ざらし」より 著者:豊島与志雄
しまった。やがて沢子も腰を下して、煖炉の火を見入った。その冷たい彫像のような顔を
火先がちらちら輝らしてるのを、昌作はじろりと見やっただけで、再び視線を火の方へ落....
「ものの影」より 著者:豊島与志雄
葦のほとりに火の手があがった。もとより、その辺に人家はないから火災ではない。然し
火先や煙の勢が大きく、ただの焚火とも見えないので、近くの人々が行ってみると、田中....
「古木」より 著者:豊島与志雄
面の火焔となりました。 火焔は崖に沿って巻き上りました。巻き上り巻き上り、高い
火先は、逆に後ろへ巻き返しました。恰もこの崖のところへ、下からと上からと二つの逆....
「仇討姉妹笠」より 著者:国枝史郎
心に蛾の方へ眼を向けたまま、こう主税は思っていた。 一つの蛾が朱筆の穂のような
火先に、素早く嘗められて畳の上へ落ちた。死んだと見えて動かなかった。 (ではやっ....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
おやおや風向きが変った。西になった」 と、いってる声の下から、たちまち紅勘横丁へ
火先が吹き出して来た。これは浅草の大通りだ。師匠の宅から正に半町ほど先である。と....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
おりました。 すると、見る見る中に、両側の家は焼け落ちて、今にも万年屋の屋根を
火先が舐めそうになって来る。と、火消しの一群が火の粉を蹴って駆け来り、その中の一....
「火に追われて」より 著者:岡本綺堂
ていることも聞いた。銀座通りの焼けていることも聞いた。警視庁が燃えあがって、その
火先が今や帝劇を襲おうとしていることも聞いた。 「しかしここらは無難で仕合せでし....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
ね。」 「何うも不思議ですね。」 鸚鵡返しの声が終らぬ中に、忠一の持った松明の
火先が左へ揺れると、一|間許り下の大岩の間に又もや金色が閃いた。 「あ、彼処だ。....