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「火刑〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

火刑の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
縮図」より 著者:徳田秋声
しい訊問を受けながら、素直にしかし敢然と屈しなかったこの神がかりの少女が、ついに火刑の煙に捲かれながら、「私の言葉は神の声である」と主張し通して焚かれて行く場面....
落穴と振子」より 著者:佐々木直次郎
はその真っ赤に熱した鉄板から監房の真ん中の方へあとじさりした。眼の前にさし迫った火刑の死を考えると、あの井戸の冷たさという観念が、苦痛をやわらげる香油のように心....
海神別荘」より 著者:泉鏡花
人皆いずれの道にも煙はのがれず、殊に不便はこれにぞありける。――これで、鈴ヶ森で火刑に処せられまするまでを、確か江戸中|棄札に槍を立てて引廻した筈と心得まするの....
世界の一環としての日本」より 著者:戸坂潤
れるという経緯が、今日注目に値いするのである。 ナチによって非アーリア的書物の火刑という儀式が行なわれた時、吾々は甚だ驚いたものだ。之はいうまでもなく、野蛮行....
後光殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
そして、提灯の縮小につれて、妄執の火が次第に濃くなって行く。勿論胎龍はその刹那に火刑――とでも直感した事だろうが、それを反覆する余裕もなく、ひたすらこの恐怖すべ....
活動写真」より 著者:淡島寒月
されたチェーラル・シンワーラーの「ジャンダーク」は大評判の大写真で、別けてもその火刑の場は凄惨を極めて、近来の傑作たる場面であった。こういう大仕掛な金を掛けたも....
原爆詩集」より 著者:峠三吉
あがらせ 1945, Aug. 6 まひるの中の真夜 人間が神に加えた たしかな火刑。 この一夜 ひろしまの火光は 人類の寝床に映り 歴史はやがて すべての神に....
カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
にとって、神の栄光のために日ごとに国内に炬火《たいまつ》が燃えて、 華麗なる火刑の庭に おぞましき異教の者の焼かれたる 恐ろしい宗教裁判のときのことを扱....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
いた者らを慰め、死んでゆく者らに力をつけ、自分を売り渡した者らをも恨まず、そして火刑台に上がって、炎が立ちのぼってきた時でさえ、自分のことを考えず、力をつけてく....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
れてるものを後足《あとあし》でけることである。邪教徒の苦痛の程度が少ないと言って火刑場を悪口することである。崇拝されることが少いと言って偶像を非難することである....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
、奴隷制《どれいせい》の、死刑の、戦争の、維持と保存とを静かに主張し、サーベルと火刑場と絞首台とを、低声にまた丁寧に誉めたたえている。しかし吾人をして言わすれば....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
観者であって、天気さえ麗しければネロのごとき暴君をも意に介せず、日の光をのみ見て火刑場を眼中に置かず、断頭台上の処刑をながめてもただ光線の作用のみを気にし、叫び....
死刑囚最後の日」より 著者:豊島与志雄
それらの幽閉監房だけが、昔のビセートルの城の名残りであって、ジャンヌ・ダルクを火刑にしたあのウィンチェスターの枢機官が十五世紀に建てたままのものである。先日や....
エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
のときを最後として剥奪され、市民党の七十九人は生きながら市場で焼き殺された。この火刑は朝の八時に始まり、松明に照らされながら夜の九時まで続いた。 この事件の異....
切支丹転び」より 著者:田中貢太郎
女房の枕頭に坐って夢を見ている人のようにしていた。 後十年位して、江戸の芝口で火刑に処せられた切支丹の宗徒の中に、駿河の浪人で吉見太郎左衛門と云う者がいたと云うことが某記録に残っている。....