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火口壁
「火口壁〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
火口壁の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「高山の雪」より 著者:小島烏水
たように見える所がある。あれは宝永の噴火口で、雪が実際は消えていないのであるが、
火口壁の陰影で、藍色に見えるのである。少し近づいて見ると、その
火口壁の雪は、反対....
「日本山岳景の特色」より 著者:小島烏水
服三重足袋の旅行をするよりも、草鞋《わらじ》で岩石をザクザクやりながら、手ずから
火口壁の赭褐《しゃかつ》色なる大塊を握《つか》むべきである、そこに地心の十万億土....
「雪中富士登山記」より 著者:小島烏水
。 頂上を仰ぐと、平ッたい赭渋色の岩の上に、黒く焦げた岩が、平板状に縞を作った
火口壁が、手の達《とど》くほど近く見え、鉛のように胸壁に落ちている雪は、銀の顫《....
「単独行」より 著者:加藤文太郎
ってみました。池にはもう雪も少ししかなく水もぬるいくらいでした。池の東側は絶壁で
火口壁ということをはっきり現わしています。鷲羽岳を下る途中私はちょっと辷って尻尾....
「化け物の進化」より 著者:寺田寅彦
た事がある。風のない穏やかなある日あの火口丘の頂に立って大きな声を立てると前面の
火口壁から非常に明瞭な反響が聞こえた。おもしろいので試みにアー、イー、ウー、エー....
「谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
な、がさがさとした、乾き切った色をしている、頭から肩と、温泉宿の方へズリ下りて、
火口壁の聳えたところに、折り目がいくつか出来ている、そうして近頃の新火口らしい円....
「不尽の高根」より 著者:小島烏水
えてくれた。これはしかし吉田口の五合目から、富士に向って、左に路を取り、宝永山の
火口壁から、その火口底へ下り、大宮方面の大森林に入って、大沢の嶮を越え、小御岳へ....
「案内者」より 著者:寺田寅彦
はいっこうなんの変わりもないように思われた。すると彼はそことはだいぶ離れた後方の
火口壁のところどころに立ち上る蒸気をさして「あのとおりだ」という。しかし松明を振....
「憑きもの」より 著者:豊島与志雄
仄かに夜が明けかかっていた。中天は既に明るいが、地上にはまだ薄闇が漂っていて、
火口壁のあちこちに、粗らな人影が影絵のように見える。火口の縁に辿りつくと、硫黄の....
「自由人」より 著者:豊島与志雄
めの火山めぐりであったが。 阿蘇の噴火口から噴出し突き上げてくる白熱の溶液が、
火口壁を越えるほどの高さで散って、美しい玉簾を宙に懸ける、それに見入っていると、....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
のは大変なことですよ。御神火茶屋まで登っても、さてそれから沙漠を横断して内輪山の
火口壁まで行くのが大変だ。砂だから歩きづらいということもあるが、あの沙漠をうめる....
「火と氷のシャスタ山」より 著者:小島烏水
、雪渓を、ものの三千五百尺ばかり登ると、富士山の胸突八丁にも喩えられるところの、
火口壁へとぶつかった。これを越えると、絶頂に辿りつくことになるので、ここでさえ、....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
な大小の岩塊が危く均衡を保っている、木も無ければ草も無い、まるで新に爆裂した後の
火口壁を見るようである。此峭壁と右側の大磐石とが出遇った処に三丈許りの瀑が左斜に....