火屋[語句情報] »
火屋
「火屋〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
火屋の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「国貞えがく」より 著者:泉鏡花
七 親父はその晩、一合の酒も飲まないで、燈火《ともしび》の赤黒い、
火屋《ほや》の亀裂《ひび》に紙を貼った、笠の煤《すす》けた洋燈《ランプ》の下《も....
「虞美人草」より 著者:夏目漱石
灯《ひ》を見ながら云う。五分心《ごぶじん》を蒲鉾形《かまぼこなり》に点《とも》る
火屋《ほや》のなかは、壺《つぼ》に充《みつ》る油を、物言わず吸い上げて、穏かな※....
「道草」より 著者:夏目漱石
た挨拶《あいさつ》もせずに、「少し油煙がたまるようですね」といった。 なるほど
火屋《ほや》が薄黒く燻《くす》ぶっていた。丸心《まるじん》の切方《きりかた》が平....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
、もう一つ、黒塗|金蒔絵の小さな棚を飾って、毛糸で編んだ紫陽花の青い花に、玉の丸
火屋の残燈を包んで載せて、中の棚に、香包を斜めに、古銅の香合が置いてあって、下の....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
て水兵をした事があるとか云って、かねて用意をしたものらしい、ドギドギする小刀を、
火屋の中から縦に突刺してるじゃありませんか。」 「大変で、はあ、はあ、」 「ト思....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
出して、 (按摩でやす。)とまた、悪く抜衣紋で、胸を折って、横坐りに、蝋燭火へ紙
火屋のかかった灯の向うへ、ぬいと半身で出た工合が、見越入道の御館へ、目見得の雪女....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
と歩行いた。 灯が一つ、ぼうと赤く、宙に浮いたきりで何も分らぬ。釣ランプだが、
火屋も笠も、煤と一所に油煙で黒くなって正体が分らないのであった。 が凝視める瞳....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
る。小さな松火は真暗な中に、火鉢の前に、壁の隅に、手拭の懸った下に、中腰で洋燈の
火屋を持ったお雪の姿を鮮麗に照し出した。その名残に奥の部屋の古びた油団が冷々と見....
「亡び行く江戸趣味」より 著者:淡島寒月
いるので、かえってよく環境と照映しない憾みがある。 ◇ 昔から花
火屋のある処は暗いものの例となっている位で、店の真中に一本の燈心を灯し、これを繞....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
の」「そこは正直でございましてな。お気に召さずば道中師屋、胡麻の蠅屋大泥棒屋、放
火屋とでもご随意に、おつけなすってくださいまし」「いよいよもって呆れたな。口の軽....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
る拍子に、物音もせず、五|分ばかりの丸い灯は、口金から根こそぎ殺いで取ったように
火屋の外へふッとなくなる。 「厭だ、消しちまった。」 勝手口は見通しで、二十日....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
胸倉を打掴えて、ぐいと引摺り込みながら硝子戸を片手でぴッしゃり。持っていた洋燈の
火屋が、パチン微塵、真暗になったから、様子を見ていた裏長屋のかみさんが、何ですぜ....
「活人形」より 著者:泉鏡花
々たる洋燈の周囲を、飛び廻り、飛び狂い、火にあくがれていたりしが、ぱっと羽たたき
火屋の中へ逆さまに飛び入りつ、煽動に消える火とともに身を焦してぞ失せにけり。 ....
「春心」より 著者:田中貢太郎
的なものがつながった。賢次は洋燈へ眼をやった。心の切りようでもわるいのか、洋燈は
火屋の一方が黒く鬼魅わるく煤けていた。広巳はその時|頷いた。 「そうだよ、俺の家....
「世間師」より 著者:小栗風葉
た。 貝殻を敷いた細い穢い横町で、貧民窟とでもいいそうな家並だ。山本屋の門には
火屋なしのカンテラを点して、三十五六の棒手振らしい男が、荷籠を下ろして、売れ残り....