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火打ち
「火打ち〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
火打ちの前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「箕輪心中」より 著者:岡本綺堂
た。お時も焙烙《ほうろく》に苧殻《おがら》を入れて庭の入り口に持ち出した。やがて
火打ちの音がやむと、お時の手を合わせている姿が火の前にぼんやりと浮き出した。 ....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
覚悟また壮烈です。 「これこそ南蛮渡来の油薬、とくとごろうじませい」 叫びつつ
火打ち石取り出して、五体かまわずに切り火を散らし放ったかと見えるや、全身たちまち....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
時折よく通り合わせたのは、老いたる一人の猟師であったが、彼を猪小屋へ担ぎ込むと、
火打ち袋から丸薬を取り出し、まず水の中へ抛り込んだ。と丸薬は生物のように水の面を....
「藤棚の陰から」より 著者:寺田寅彦
忽然として記憶の水準面に出現する。そうして、その引き出しの中には、もぐさや松脂の
火打ち石や、それから栓抜きのねじや何に使ったかわからぬ小さな鈴などがだらしもなく....
「小浅間」より 著者:寺田寅彦
片で内部の軽石状構造を示すものが多いようである。 それからまた、ちょっと見ると
火打ち石のように見える堅緻で灰白色で鋭い稜角を示したのもあるが、この種のものであ....
「かちかち山」より 著者:楠山正雄
、うしろもふり向かずにせっせと歩いていきました。うさぎはそのひまに、ふところから
火打ち石を出して、「かちかち。」と火をきりました。たぬきはへんに思って、 「うさ....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
うするのさ! あたしが憎けりゃ突くなり斬るなり勝手におしよ――それより、どなたか
火打ちを? でも、この降雨《ふり》じゃあ駄目か。ちッ! 煙草《たばこ》一つのめや....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
脇腹めがけて斬りこんだ一刀……ガッ! と音のしたのは、濡れ燕がそれを払ったので、
火打ちのように、青い火花が咲き散った。
「ウム、丹下左膳に悪寒《さむけ》をおぼえ....
「沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
なった。その代りある日土人用の弓と矢とをこっそり持って来てくれた。それにもう一つ
火打ち石と
火打ち鎌とを持って来てくれた。おかげで私はそれ以来鳥や獣を獲ることが出....
「魔像」より 著者:林不忘
庵さん、お在宿《いで》かえ」 「居るよ。ここにいらあな。まア、お上り」 長庵は
火打ちを捜《さが》して、そこらをガサガサ撫で廻している。 五 ガサ....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
こう》から単衣《ひとえ》を外して三尺を伊達に結ぶと、名ばかりの仏壇へ頬片を供えて
火打ちを切ってお燈明を上げた。折れた線香からも結構煙は昇る。 藤吉は茶の間へ坐....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
蝠でも飛びだして来はしまいかしらと思われるほど暗い。 「お待ち」 丹左は隅で、
火打ち石をカチカチ磨ッているのだ。どこで拾って来たか、短檠に灯りがつく。 見れ....