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火点
「火点〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
火点の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「新生」より 著者:島崎藤村
らくはく》した姿をして、薄暗い庭先の八ツ手の側に立っていた。
岸本はこの珍客が
火点《ひとも》し頃《ごろ》を選んでこっそりと訪《たず》ねて来た意味を直《す》ぐに....
「みちの記」より 著者:森鴎外
ありて、近き山の麓より立てり。幅きわめて広く、山麓の人家三つ四つが程を占めたり。
火点しごろ過ぎて上田に着き、上村に宿る。 十八日、上田を発す。汽車の中等室にて....
「旅愁」より 著者:横光利一
っていることなど自然なことだと、うるさくまた悩みが追って来るのだった。しかも、発
火点が擦れ合いつつ再び密房のような桟敷へ這入っていくのである。桟敷には頼めば係り....
「ある遊郭での出来事」より 著者:若杉鳥子
……それも四月頃の一事件だった……と私は思い出す。 風邪をひいて寝ていた私は、
火点し頃になってようやく目をさました。周囲を見廻すと人がいないし、外に出て見ても....
「日本イデオロギー論」より 著者:戸坂潤
が(張学良の阿片のことだろうか?――引用者注)、遂に日本の民族精神、国民道徳を発
火点にまで冒涜したのに基因いたします」と荒木貞夫大将は、そこで念のために弁解して....
「世界の一環としての日本」より 著者:戸坂潤
ない。日本の民衆というこの非政治的な瓦斯も、シリンダー内の圧迫行程に於ては必ず点
火点に達することが出来る。条件は単に常温常圧の場合にしか保たれない。――処が文学....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
更に激しく燃えたった。そこには枝葉を繁らす樹木もなく濶達な青空もない。すべては発
火点に達して、夢中になって狂躁曲を奏しているようにしか見えない。その光景は正に迷....
「妖怪学」より 著者:井上円了
輝くは天気の兆しなりという。また、ある書に、「灯心に丁字頭立てば旱なり」「鍋墨に
火点ずれば雨晴るる」という。ある人の天気を詠ずる歌に、 夢見るは雨と日和の二つな....
「望郷」より 著者:服部之総
あるという米国務省の対ソ抗議覚書が発表された。根室《ねむろ》沖が「危険地帯」の発
火点になるための外交辞令はととのった形である。二十日私は旭川《あさひかわ》にいた....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
ろん、そのウラには、北条氏内部の紛争やら犠牲者も出たりして、一時はここが武力の発
火点にもなりそうだったが、笠置、赤坂の一|挙のため、かえって、鎌倉は逆にかたまっ....
「森の石松」より 著者:山中貞雄
ぞ。仕様のない奴だ」 「兄さんッ」 地面に落ちて居る振分と笠。 S=茶店の表
火点し頃。 お静、店を片付けて居ると、七五郎がやって来る。 (七五郎も石松と....