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火燵
「火燵〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
火燵の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「不思議な島」より 著者:芥川竜之介
きなさいよ。原稿をとりに来たのですってさ。」
甥は僕を揺《ゆ》すぶった。僕は置
火燵《おきごたつ》に当ったまま、三十分ばかり昼寝をしたらしい。置
火燵の上に載って....
「黄村先生言行録」より 著者:太宰治
》の破れがハタハタ囁《ささや》き、夜もよく眠れず、私は落ちつかぬ気持で一日一ぱい
火燵《こたつ》にしがみついて、仕事はなんにも出来ず、腐りきっていたら、こんどは宿....
「彼岸過迄」より 著者:夏目漱石
くり返しくり返し語った。十二時過から御仙は通夜《つや》をする人のために、わざと置
火燵《おきごたつ》を拵《こし》らえて室《へや》に入れたが、誰もあたるものはなかっ....
「吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
御飯をたべるかい」「いいえ今朝からまだ何《なん》にも食べません、あったかにして御
火燵《おこた》に寝かしておきました」何だか猫らしくない。まるで人間の取扱を受けて....
「どんぐり」より 著者:寺田寅彦
手水鉢《ちょうずばち》を座敷のまん中で取り落として洪水《こうずい》を起こしたり、
火燵《こたつ》のお下がりを入れて寝て蒲団《ふとん》から畳まで径一尺ほどの焼け穴を....
「姥捨」より 著者:太宰治
ああ、もうからだは、すっかりいいんだ。ふとったろう。」 そこへかず枝が、大きい
火燵を自分で運んで持って来た。 「ああ、重い。おばさん、これ、おじさんのを借りた....
「残されたる江戸」より 著者:柴田流星
と睦まじいものなり。 こうして歳の大晦日はいつも夜あかし、明けがたにトロトロと
火燵ながらにまどろむことはあっても、年男はすぐに若水も汲まねばならず、先ず明けま....
「自由画稿」より 著者:寺田寅彦
能があるかもしれない。 寒中には着物を後ろ前に着て背筋に狭い窓をあけ、そうして
火燵《こたつ》にかじりついてすえてもらった。神経衰弱か何かの療法に脊柱《せきちゅ....
「敵討札所の霊験」より 著者:三遊亭円朝
後に一寸した小座敷がございます、此処にお梅と二人で差向い、畜生めという四つ足の置
火燵で、ちん/\鴨だか鶩だか小鍋立の楽しみ酒、そうっと立聴をするとお梅だから、七....
「反抗」より 著者:豊島与志雄
んなに寒いんですか。」 「ええ。私は寒さが一番厭なんです。」 「そう。じゃあ今に
火燵を拵えてあげるわ。」 周平は顔を挙げて、針の手先から眼を離さないでいる彼女....
「野ざらし」より 著者:豊島与志雄
にそむく椿や花のよそごころ 椎のはなの心にも似よ木曽の旅 住つかぬ旅のこころや置
火燵 その他まだ沢山あったがね、そのうちで僕の心を惹いたのが二つあるよ。 ....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
ら、「祖母様がちょっと」といわれます。 何かと思ってお部屋へ行きますと、小さな
火燵に寄りかかって、笑いながら、「こうやって林が立派にやっていられるので、私たち....
「丸の内」より 著者:高浜虚子
である。雪の深い山路などは行き度くないにきまっている。出来る事なら惰けて、終日|
火燵に燻っていたいであろう。時には暖炉のかたわらにばかりかじりついている上官を呪....
「雪の日」より 著者:永井荷風
○ 曇って風もないのに、寒さは富士おろしの烈しく吹きあれる日よりもなお更身にしみ、
火燵《こたつ》にあたっていながらも、下腹《したはら》がしくしく痛むというような日....
「南画を描く話」より 著者:中谷宇吉郎
り濃淡をつける必要があるし、その上省略がなかなかむつかしい。おだやかな伊東の冬を
火燵《こたつ》にあたりながら、顕微鏡写真を眺めては、結晶の特徴を考えて見るのは、....