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火玉
「火玉〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
火玉の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
で煙草をすいはじめた。やがて半七が煙管《きせる》をぽんと掃《はた》くと、吸い殻の
火玉は転げて松のうしろに落ちたので、その
火玉を追って二度目の煙草をすい付けようと....
「石狩川」より 著者:本庄陸男
って、煙草盆の小さな埋火《うずみび》をきせるの先で掻きだした。その憐《あわ》れな
火玉を、最後の握り飯にかじりついている甚助におしてやった。銀のなた豆きせるが、古....
「モスクワ印象記」より 著者:宮本百合子
赤鼻のモローズ」がモスクワの街へ降りた。 午後三時半、日が沈みかけた。溶鉱炉の
火玉を吹き上げたように赤い、円い、光輪のない北極的な太陽が雪で凍《い》てついた屋....
「一九二七年八月より」より 著者:宮本百合子
。 〔一九二八年〕二月三日 モスクワ 午後三時半頃日沈、溶鉱炉から
火玉をふき上げたような赤い太陽(円く、大きく)光輪のない北極的太陽 雪のある家々....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
ざえもん》の皺《しわ》の深い顔に、思わず明るい微笑がみなぎると、かれは吸いかけた
火玉をプッ――と吹いて、ついで吐月峰《はいふき》のふちをとんとたたいた。
三十....
「鬼火を追う武士」より 著者:田中貢太郎
鶴岡城下の話であるが、某深更に一人の武士が田圃路を通っていると、焔のない
火玉がふうわりと眼の前を通った。焔のない
火玉は鬼火だと云う事を聞いていた武士は、....
「魔王物語」より 著者:田中貢太郎
で、すぐ不安そうに黙り込んだ。 火鉢の中に炎が燃えあがってそれが見る見る一団の
火玉となった。壮佼達は驚いて後に飛び退いた。
火玉はくるくると舞うて上にあがるまも....
「位牌田」より 著者:田中貢太郎
に何か変った物を見つけたのか顔色を変えた。位牌田の上で、提灯ぐらいの大きさの青い
火玉がくるくる廻りながら上へあがったりさがったりしていた。農夫は弁当箱を投げ出し....
「日記」より 著者:宮本百合子
だろう。然し自分は、彼の姿を見た瞬間、にわかに今まで自分の内に在った自分の魂丈が
火玉のように成って彼の胸にとびついたような心持に成った。激しい、苦しい悦びで喉が....
「円朝花火」より 著者:正岡容
煙草盆の火をうつすと、シュッと燃え上がった火勢は、間もなく酸漿《ほおずき》ほどの
火玉となり、さらさらさっと八方へ、麻の葉のような火華をちらした。 麻の葉は薄暗....
「早耳三次捕物聞書」より 著者:林不忘
降りやがる、ふりやがる――豪気なもんだ。」 こう言って三次が、煙草《たばこ》の
火玉を土間へ吹いた時、 「御免なさい。」 という優しい声がして、おりから煽《あ....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
り出そうとする。押さえた男、弥吉の顔を壁へ捻じ向ける。とたんに、荒壁の上下左右に
火玉が飛んだ、と見えたも瞬間、めりめりと壁を破って両腕を突き出した人間《ひと》の....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
らぬ表の色を眺めながら、上《あが》り框《がまち》に腰掛けた勘弁勘次は、掌へ吹いた
火玉を無心一心に転がしていた。 二 成田の祇園会《ぎおんえ》を八日....
「五重塔」より 著者:幸田露伴
もなしにいしところへ、野猪よりもなお疾く塵土を蹴立てて飛び来し清吉。 忿怒の面
火玉のごとくし逆釣ったる目を一段|視開き、畜生、のっそり、くたばれ、と大喝すれば....
「銀河まつり」より 著者:吉川英治
んだ。意地だもの!」 「強情ッ張りだこと」 「そうよ、煙火師なんてものは、煙草の
火玉でも一つ転がり方が悪ければ、骨も肉もどこへ行っちまうか分らねえ渡世だ。寝る目....