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「火種〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

火種の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
カインの末裔」より 著者:有島武郎
なかだち》になるばかりだった。二人は喰い終ってから幾度も固唾《かたず》を飲んだが火種のない所では南瓜《かぼちゃ》を煮る事も出来なかった。赤坊は泣きづかれに疲れて....
星座」より 著者:有島武郎
寒々と冴《さ》えて、ガラス板を張りつめたように平らに広がっていた。家の中にいても火種の足りない火鉢にしがみついて、しきりに盗風《すきまかぜ》の忍びこむのに震えて....
籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
かねて彼女からも聞かされていたが、まさかこれ程とは思っていなかった。 かすかな火種では容易に火が起らないらしく、栄之丞は破れた扇で頻《しき》りに炭を煽いでいた....
両国の秋」より 著者:岡本綺堂
たので、その帰りにちょっと寄ってみたのだと言った。お君が火消し壺からまだ消えない火種を拾い出して来ると、林之助はとりあえず一服すった。 「どうしたい。顔の色が悪....
夫婦善哉」より 著者:織田作之助
柳吉は言い、退屈《たいくつ》しのぎに昨日《きのう》からそれに掛り出していたのだ。火種を切らさぬことと、時々かきまわしてやることが大切で、そのため今日は一歩も外へ....
青春の逆説」より 著者:織田作之助
かった。部屋の中がさむざむとして、煙が恥しいぐらい立ちこめた。下宿の人に言って、火種を貰うなど、出来ぬ質だった。新聞紙もくべ尽してしまい、何という俺は不器用な男....
蠅男」より 著者:海野十三
は、赭茶けた灰の一塊があった。これは何だろう。その灰の下を掘ってみたが、そこには火種一つなかった。悪臭が帆村の鼻をついた。 「ああそうか。あのフィルムをこの火鉢....
河明り」より 著者:岡本かの子
」と思いながら、さっさと自分の河沿いの室へ入った。 いつもの通り、やまが火鉢の火種を持って来た。 「お嬢さんお風邪……」と私は訊いて見た。 やまは、「ええ、....
名人長二」より 著者:三遊亭円朝
お由は其の足で直に酒屋へ行って酒を買い、貧乏徳利を袖に隠して戻りますと、茂二作は火種にいけて置いた炭団を掻発して、其の上に消炭を積上げ、鼻を炙りながらブー/\と....
怪塔王」より 著者:海野十三
」 水が革ぶくろのなかになくなると見るや、小浜兵曹長は、まだぷすぷすとのこりの火種の光っている青江のズボンのうえを、彼の両脚でもっておさえつけ、たたきつけ、と....
無人島に生きる十六人」より 著者:須川邦彦
おくことにした。そして、天気のよい日は、双眼鏡のレンズで、太陽の光線をあつめて、火種をつくった。しかしこれは、くもりの日や、夜はできないから、そんな時には、なに....
氷河」より 著者:黒島伝治
なかった。破壊されているのでもなかった。たゞ、パルチザンは、枕木の下へ油のついた火種を入れておくだけだった。ところが、枕木は炭焼竈の生木のように、雪の中で点火さ....
深川女房」より 著者:小栗風葉
らいいんですが、またどっかへ遊びにでも出たかと思いまして」と中仕切をあけて、 「火種を一つ貰えませんか?」 「火鉢をお貸し」 為さんは店の真鍮火鉢を押し出して....
俗臭」より 著者:織田作之助
の天婦羅を揚げている。鯛焼が自分か、自分が鯛焼か、天婦羅が自分か自分が天婦羅か、火種や油の加減をみるのに魂が乗り移ってしまう程の根気のよさよりも、左様に一生うだ....
恐怖の幻兵団員」より 著者:大倉燁子
れるということは、智慧者の彼なればこそ、と、私は思っているのだった。 家政婦が火種を持って来て、瀬戸の大火鉢に炭をついでから、各自の前にお茶を運んでいるのを、....