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「火箸〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

火箸の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
とともに、相手の横に払った太刀《たち》をあびて、恐ろしい叫び声を出しながら、焼け火箸《ひばし》でも踏んだように、勢いよくとび上がると、そのまま、向こうの顔へしが....
奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
《は》いた片頬《かたほお》に、炭火《すみび》の火照《ほて》りを感じながら、いつか火箸を弄《もてあそ》んでいる彼女自身を見出《みいだ》した。 「金《きん》、金、金....
お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
等自身を見出すのだった。 「いけないねえ。ああ始終苦しくっちゃ、――」 叔母は火箸《ひばし》を握ったまま、ぼんやりどこかへ眼を据えていた。 「戸沢さんは大丈夫....
忠義」より 著者:芥川竜之介
や葉がどうも気になって仕方がない。そのほか象牙《ぞうげ》の箸《はし》とか、青銅の火箸とか云う先の尖《とが》った物を見ても、やはり不安になって来る。しまいには、畳....
カインの末裔」より 著者:有島武郎
はさし向いに罵《ののし》り合《あ》っていた。佐藤の妻は安座《あぐら》をかいて長い火箸《ひばし》を右手に握っていた。広岡の妻も背に赤ん坊を背負って、早口にいい募っ....
婦系図」より 著者:泉鏡花
悠然と煙草を輪に吹く。 「しかし、君、その自から、何だろう。」 とその何だか、火箸で灰を引掻いて、 「僕は窮屈で困る。母様がああだから、自から襟を正すと云った....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
模範船の艫から一字を引いて怪火のように流れる炭火の火の子とをながめやる。長い鉄の火箸に火の起こった炭をはさんで高くあげると、それが風を食って盛んに火の子を飛ばす....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
をおつけ申しますよ。」と女房は土間を横歩行き。左側の畳に据えた火鉢の中を、邪険に火箸で掻い掘って、赫と赤くなった処を、床几の門附へずいと寄せ、 「さあ、まあ、お....
女客」より 著者:泉鏡花
時に燈に近う来た。瞼に颯と薄紅。 二 坐ると炭取を引寄せて、火箸を取って俯向いたが、 「お礼に継いで上げましょうね。」 「どうぞ、願います。....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
の催促は、またそれ亭主が妬くといういやなものが搦んでさ、髻を掴んで、引きずって、火箸で打たれました、などと手紙を寄越す、田舎芝居の責場があるから。」 「いや、は....
伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
で膝を斜に、三枚襲で着痩せのした、撫肩の右を落して、前なる桐火桶の縁に、引つけた火箸に手をかけ、片手を細りと懐にした姿。衣紋の正しく、顔の気高きに似ず、見好げに....
我が宗教観」より 著者:淡島寒月
ありました。或る時芝の青松寺へ行って、和尚に対面して話の末、禅の大意を聞いたら、火箸をとって火鉢の灰を叩いて、パッと灰を立たせ、和尚は傍の僧と相顧みて微笑んだが....
醜い家鴨の子」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
突っ込んで、また匐い出しました。さあ大変な騒ぎです。おかみさんはきいきい言って、火箸でぶとうとするし、子供達もわいわい燥いで、捕えようとするはずみにお互いにぶつ....
スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
式の椅子や、黒いマホガニーのテーブルが鏡のように輝いており、薪おきは、シャベルや火箸も一式ふくめて、アスパラガスの葉のかげに光っていた。梅花うつぎと巻貝とが煖炉....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
せばまだ可いのに、渇えているので、ほとんど本能の勢、といった工合で、呑込むと、焼火箸を突込むように、咽喉を貫いて、ぐいぐいと胃壁を刺して下って行く。……打倒れま....