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「灯心〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

灯心の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
虞美人草」より 著者:夏目漱石
ね》はこの庭から出る。 雨は一つである。冬は合羽《かっぱ》が凍《こお》る。秋は灯心が細る。夏は褌《ふどし》を洗う。春は――平打《ひらうち》の銀簪《ぎんかん》を....
吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
がる。「ところへ花道から俳人|高浜虚子《たかはまきょし》がステッキを持って、白い灯心《とうしん》入りの帽子を被《かぶ》って、透綾《すきや》の羽織に、薩摩飛白《さ....
夢十夜」より 著者:夏目漱石
がぼんやり点《とも》っている。片膝《かたひざ》を座蒲団《ざぶとん》の上に突いて、灯心を掻《か》き立てたとき、花のような丁子《ちょうじ》がぱたりと朱塗の台に落ちた....
琴のそら音」より 著者:夏目漱石
蝋燭《ろうそく》の灯《ひ》の細きより始まって次第に福やかに広がってまた油の尽きた灯心《とうしん》の花と漸次《ぜんじ》に消えて行く。どこで吠えるか分らぬ。百里の遠....
八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
が十もござります。なんの暗いことがございましょう」 「いいや暗い、真っ暗だ。早く灯心を掻き立ててくれ」 「それじゃ卯平さん掻き立ててくんな」 「へい」と云うと手....
蛇性の婬 」より 著者:田中貢太郎
ので、大和の姉の許へ往った。その姉の家は泊瀬寺に近い石榴市と云う所にあって、御明灯心の類を売っていた。某日豊雄が店にいると、都の人の忍びの詣と見えて、いとよろし....
盗まれた手紙」より 著者:佐々木直次郎
なにかよく考える必要のあることなら、暗闇のなかで考えたほうがいいでしょう」と彼は灯心に火をつけるのをよして、言った。 「また君の奇妙な考えですな」と総監が言った....
無人島に生きる十六人」より 著者:須川邦彦
、よぶんの油は、砂の上に三センチほどたまる。その砂に、帆布をほぐした糸で作った、灯心をさしこみ、火をつけると、りっぱな灯明になった。灯明の火が、風に消されないよ....
サレーダイン公爵の罪業」より 著者:チェスタートンギルバート・キース
か、とにかくその風景に思わず見惚ざるを得ないような場所へ出た。広い水面の真ン中に灯心草に四面をかこまれた細長い平たい島が横わっていて、島の上には竹もしくは熱帯産....
二都物語」より 著者:佐々木直次郎
点灯夫がそれを下し、火を点じて、また吊し上げると、弱い光を放っている数多の仄暗い灯心が、病みほうけたように頭上で揺れ動いて、あたかも海上にあるようであった。実際....
江戸の化物」より 著者:岡本綺堂
催されましたが、一種の胆だめしです。これは御承知の通り、まず集まった人の数だけの灯心を行灯に入れて、順々に怪談を一席ずつ話して、一人の話が終わるごとに灯心を一本....
妖怪学」より 著者:井上円了
暈あるは雨の兆しなりといい、夕日の輝くは天気の兆しなりという。また、ある書に、「灯心に丁字頭立てば旱なり」「鍋墨に火点ずれば雨晴るる」という。ある人の天気を詠ず....
妖怪学一斑」より 著者:井上円了
月が暈をかぶれば雨であるとか、夕やけがすると天気の前兆であるとか、あるいは行灯の灯心にちょうができれば天気の兆候であるとか、鍋墨に火が付けば晴天の兆しであるとか....
賤民概説」より 著者:喜田貞吉
受けるというのと同じ様子のものであった。特にまた関東のエタ頭弾左衛門は、関八州の灯心の専売権を有して、非常に富裕であったという。その他地方によっていろいろの特権....
放免考」より 著者:喜田貞吉
「建治弘安の頃は祭の放免のつけ物に、異様なる紺の布四五端にて馬を作りて、尾髪には灯心をして、蜘蛛のゐ描きたる水干につけて、歌の心など云ひて渡りし云云」とある建治....