灯火[語句情報] » 灯火

「灯火〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

灯火の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
二足の獣は何と云う情けない動物であろう。我我は文明を失ったが最後、それこそ風前の灯火のように覚束《おぼつか》ない命を守らなければならぬ。見給え。鳥はもう静かに寐....
或る女」より 著者:有島武郎
労を覚えて、いわばその疲れを夢のように味わいながら、なよなよとソファに身を寄せて灯火を見つめていた。倉地がそこにいないのが浅い心残りだった。けれどもなんといって....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
その音がいい。 だんだん間近になった岩内の町は、黄色い街灯の灯のほかには、まだ灯火もともさずに黒くさびしく横たわっている。雪のむら消えた砂浜には、けさと同様に....
海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
ら十八時までとなったため、大混雑の由。 風呂屋はガラス張りの部分が大きく、夜の灯火管制がやれないためだというが、ひとくふうあってほしいものだ。 ◯うちの便所灯....
怪星ガン」より 著者:海野十三
の救援隊の首脳部の心の痛みは、災害をちょくせつに身にうけてその生命もいまや風前の灯火どうようの第六号艇の乗組員三十名よりも、ずっとふかく大きかった。 テッド博....
宇宙尖兵」より 著者:海野十三
って何かしているうちに、がらがらと音がして硝子天井から洩れていた光が消え、室内の灯火も急に暗くなり、その代りに展望窓の方から、青味を帯びた光がさっとさし込んでき....
火星兵団」より 著者:海野十三
上って、身がまえた。 怪人丸木は、ずんずん前に寄って来る。彼の手には、妙な形の灯火がにぎられている。まるで竹筒のようでもあり、爆弾のようにも見える。 先生は....
火薬船」より 著者:海野十三
者のほかは、全部平靖号へ出かけ、荷役を手つだった。 船と陸とには、おしげもなく灯火がてんぜられ、まるでみなとまつりの予行演習であるかのようにおもわれた。 荷....
怪塔王」より 著者:海野十三
いになっている帆村探偵をみつけました。 もう駄目です。帆村探偵の一命は、風前の灯火も同様です。殺人光線が帆村の方にむけられ、そしてボタンがおされると、もうすべ....
浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
ってか知らでか、水雷長はまだ潜航命令を発してはおらぬ。 「艦長、飛行島がしきりに灯火を消していますぞ」 入野が呶鳴った。 「うむ、分かった。それでは――」と叫....
」より 著者:池谷信三郎
空を散歩していた。煙が低く空を這って、生活の流れの上に溶けていた。 黄昏が街の灯火に光りを添えながら、露路の末まで浸みて行った。 雪解けの日の夕暮。――都会....
明日」より 著者:井上紅梅
子は寶兒を抱えて寝台の端に坐していた。地上には糸車が静かに立っていた。暗く沈んだ灯火の下に寶兒の顔を照してみると、桃のような色の中に一点の青味を見た。「おみ籤を....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
風船に満ち、すこぶる幽趣あり。 やる舟路マルモのあかり消えぬ間に、コペンハゲンの灯火を見る 烟月微茫檣影孤、風収嗹海静如。 (けぶる月がかすかに、帆柱の姿も孤独....
茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
うな趣きが沁々と味われる。山間の自分の村落に近づくにしたがって、薄い夕闇を透して灯火の影がなつかしい色を放ってちらちらと見え出してくる。そうするといつの間にか人....
戦争史大観」より 著者:石原莞爾
ンと衝突、適切機敏なる指揮に依りこれを撃破した。 リーグニッツの不期戦は風前の灯火の感あった大王を救った。大王は一部をもって露軍を監視、主力をもってダウンをベ....