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灰になる
「灰になる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
灰になるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「門」より 著者:夏目漱石
ける音がした。宗助はその音を聞き送って、たった一人|火鉢《ひばち》の前に坐って、
灰になる炭の色を眺《なが》めていた。彼の頭には明日《あした》の日の丸が映った。外....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
の好い息子が、大学卒業間際に肺病で死んで了う。蜀山を兀がした阿房宮が楚人の一炬に
灰になる。人柱を入れた堤防が一夜に崩れる。右を見、左を見ても、賽の河原は小石の山....
「新版 放浪記」より 著者:林芙美子
ら
あるかなきかのけぶり けぶり
推察するようなただよいもなく
私の青春は朽ちて
灰になる、
本当の事を云って下さい
只それが知りたいだけだ
人非人と同様の土ぼ....
「からすうりの花と蛾」より 著者:寺田寅彦
消してくれるものと思って、手をつかねて見物していたとしたら、全市は数時間で完全に
灰になることは確実である。昔の徳川時代の江戸町民は長い経験から割り出された賢明周....
「火星兵団」より 著者:海野十三
。非常に熱心な台員だけが、やがて自分の死も忘れ、それから今とっている記録もやがて
灰になることさえ、あまり気にとめないで、手不足の中に観測をつづけていたのであった....
「革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
して黙想して過して、はっと心着いたように、火先を斜に目の前へ、ト翳しながら、熟と
灰になるまで凝視めて、慌てて、ふッふッと吹落して、後を詰らなそうにポタリと棄てる....
「大震火災記」より 著者:鈴木三重吉
重な文書なぞをすっかり焼いたのは何と言っても残念です。大学図書館の本は、すっかり
灰になるまで三日間ももえつづけていました。 以上の外、火災をのがれた山の手や郊....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
て、まさに破滅の時代とはなりにけり、公方様《くぼうさま》の天下が亡びて、江戸中が
灰になる……鐚なんぞは、左様なことを考えたこともございません、考えることもできま....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
ぱりしたところと共に、父のもの、と思われて。 こうしてあぶないところを、うちで
灰になるところをまぬかれて、どこかに出立してゆく皿や花瓶やなつめたちは、自ら身に....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
に生活の突変になれ、突然の無一物に馴れているわけですが、どこかに在る、というのと
灰になるというのとではちがうものねえ。人間がいよいよ精髄的骨格をつよめないと、失....
「道成寺(一幕劇)」より 著者:郡虎彦
あららかに)だがみんなどうしようというのだ。こんなところにぐずぐずして生きながら
灰になるのをまっているのかい。 妙信 和尚様、ほんとにどうなされたのでございます....
「烏瓜の花と蛾」より 著者:寺田寅彦
消してくれるものと思って、手をつかねて見物していたとしたら、全市は数時間で完全に
灰になることは確実である。昔の徳川時代の江戸町民は永い経験から割り出された賢明周....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
があった。
「若旦那」
と、一人が、表から
「黒船が、参りよりまして、江戸中、
灰になるかも知れませんぜ」
「黒船が、浦賀へ来たことか」
「へえ」
「あれは、通....
「深川女房」より 著者:小栗風葉
手も動かずなる。目は瞬きもやんだように、ひたと両の瞳を据えたまま、炭火のだんだん
灰になるのを見つめているうちに、顔は火鉢の活気に熱ってか、ポッと赤味を潮して涙も....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
れらの楯籠った家に火をかけて一度に自滅するのであろう。あの火のなかで塩冶の奥方も
灰になるのかと思うと、小坂部は悲しさと悼ましさで胸がいっぱいに塞がってしまった。....