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灰燼
「灰燼〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
灰燼の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「寒さ」より 著者:芥川竜之介
。ストオヴの火は息をするように、とろとろと黄色《きいろ》に燃え上ったり、どす黒い
灰燼《かいじん》に沈んだりした。それは室内に漂《ただよ》う寒さと戦いつづけている....
「白」より 著者:芥川竜之介
矩《たけのり》(三歳)はいかなる家族の手落からか、猛火の中の二階に残され、すでに
灰燼《かいじん》となろうとしたところを、一匹の黒犬のために啣《くわ》え出された。....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
カリフ・オマール(Chalif Omar)がこの図書館のわずかに残存していた物を
灰燼に委してしまった。もっともアラビア人らは、後に彼らの文化が洗練されるようにな....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
?) 恐らく合計して百|噸の上にのぼる、爆弾だった。帝都でさえ五|噸の爆弾で、
灰燼になる筈であった。百噸を一度に投下するときは、房総半島なんか、千切れて飛んで....
「蠅男」より 著者:海野十三
だした黒い煤や白い灰に距てられて、しばらくは何物とも見分けがたかったけれど、その
灰燼がやや鎮まり、思わずストーブの前から飛びのいた警官たちがソロソロ元のように近....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
を経て赤坂見附まで全くよく焼けたもの。古くからの、そして充実した町であっただけに
灰燼に帰した今日、口惜しさがこみあげてくる。 材木町で下りて、歩き出した。南浦....
「高島異誌」より 著者:国枝史郎
二度目の災難の起こったのは、それから十日程経った時で、厨の方から火が起こり、館を
灰燼に為ようとした。其時不思議や池の水、忽ち条々と噴き上がり、焔に向かって降りか....
「天主閣の音」より 著者:国枝史郎
あ切るなら切るがいい。切られた途端に捩を捻る。一瞬の間に大火事だ! 結構なお城も
灰燼だ。お前さんだって黒焦げだ。家来方は云う迄もねえ、可愛いお神さんもお坊ちゃん....
「灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
れる是等の含蓄多き貴重なる書目の滅亡は真に悲むべきであった。 Kと一緒に暫らく
灰燼の中を左視右顧しつゝ悵然として焼跡を去りかねていた。 四壁の書架は尽く焼燼....
「空襲下の日本」より 著者:海野十三
素早く消し廻っているのだった。理解と沈着と果断とが、紙のように燃えやすい市街を、
灰燼から辛うじて救っているのだった。 ――昭和×年十一月、焼土の上にて―― 「....
「指輪一つ」より 著者:岡本綺堂
ばかりのあいだはほとんど一睡もしない、食い物も旨くない。東京の大部分が一朝にして
灰燼に帰したかと思うと、ただむやみに神経が興奮して、まったく居ても立ってもいられ....
「前記天満焼」より 著者:国枝史郎
しまい、外国渡来の悪質娯楽場も、おりからの「ぶちこわし」の火事にかかり、まったく
灰燼となってしまった。 27 自分の家の金蔵の中に、どうして源右衛門と源三郎と....
「暗黒星」より 著者:黒岩涙香
行きは寒心すべきものありと雖も、兎に角、この風とこの雨と微りせば、物は火炎の中に
灰燼し、人は焦熱の中に死すべかりしなり。 一時ながら人心は全く蘇生の想いをなせり....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
抜けた凱旋が、わたしをゆき着かせたところがこの孤独だった、この廃墟だった。空虚と
灰燼の真ん中に、たった一人で坐りながら、彼女は全世界で人が所有するにたる唯一のも....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
。
誰が己達を助けてくれるだろう。
さしも一時の盛を極めた、帝王の栄華は
一夜の
灰燼になるだろうか。
富の神
もう恐怖も広がって好いだけは広がった。
そ....