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炉辺
「炉辺〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
炉辺の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「単独行」より 著者:加藤文太郎
くらい、南側の下の窓より入る。一月より寒いのか炊事場の水は表面が凍っていた。例の
炉辺に寝る。午後七時頃よりときどき風の音を聞く。 十一日 雪 滞在 何もするこ....
「工場細胞」より 著者:小林多喜二
かたまりに失業した。 女房たちは家の中にジッとして居れなくなった。然しポカンと
炉辺に坐っていれば、坐ったきりで一日中そうしていた。呆けたようになっていた。何も....
「山と雪の日記」より 著者:板倉勝宣
ちらちら降ってきた。道に飛ぶと、もう温かそうな湯の宿のあかりが見えた。あだち屋の
炉辺に、雪のついた靴を脱いで、燃えさかる火を顔にうけた時には、なんともいわれぬい....
「五色温泉スキー日記」より 著者:板倉勝宣
温泉案内所という札をかけた家に、初めて雪の上を歩きながらとびこんだ。気持ちのいい
炉辺に坐りこみながら朝食を頼んで、人夫をついでに頼んだ。雪の世界に固有な静けさと....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
三十三 辻町糸七は、ぽかんとしていた仕入もの、小机の傍の、火もない
炉辺から、縁を飛んで――跣足で逃げた。 逃げた庭――庭などとは贅の言分。放題の....
「小公女」より 著者:菊池寛
でした。誰も彼もが、セエラの身の上話を、繰り返し繰り返し聞きたがりました。誰しも
炉辺で温かにしている時には、屋根裏のひどい寒さの話なども、気持よく聞くことが出来....
「紅毛傾城」より 著者:小栗虫太郎
ラはいっこうに表情を変えなかった。 「いいえ、それはこうなのでございます。実は、
炉辺のつれづれ話に、うっかり私は、本名を明かしてしまったのです。すると、そばにお....
「『地球盗難』の作者の言葉」より 著者:海野十三
、近き将来に於て、卓越した科学小説家の著すところの数多くの勝れた科学小説を楽しく
炉辺に読み耽る日の来ることを信じて疑わない。 次に、この本に収めた各篇について....
「おびとき」より 著者:犬田卯
で招んでも来なかった、とあとでかげぐちをきかれるのが、死ぬほど辛かったのである。
炉辺に投げ出してある夫の財布を倒まにして見たが、出て来たのは紙屑のもみくしゃにな....
「荒蕪地」より 著者:犬田卯
山肌とは、何かしらじっとしておれないどよめきを感じさせずにいなかった。 人々は
炉辺から起ち上る。そして真っ先に冬季中、山で焼かれた炭を運び出すべき時節であった....
「不在地主」より 著者:小林多喜二
荷造りした行李と大きな風呂敷包が転がっていた。父と母が火の気のない大きく仕切った
炉辺にだまって坐っていた。薄暗い、赤ちゃけた電燈の光で、父の頬がガクガクと深くけ....
「青春の息の痕」より 著者:倉田百三
らこわして出す見るから冷たそうな仕事を一日じゅうしています――の休息をするために
炉辺に集まっています。私たち三人も今夜は仕事を休んで、火を囲んで親しい話や無邪気....
「雪の一日」より 著者:岡本綺堂
。信州にかぎらず、冬の寒い、雪の深い、交通不便の地方に住む人々に取って、かれらが
炉辺の友となるものは、戯曲にあらずして文芸作品か大衆小説のたぐいであろう。なんと....
「穂高岳槍ヶ岳縦走記」より 著者:鵜殿正雄
、檐端に近き小畠の大根は、立派に出来ている、東は宮川池に注ぐ一条の清流。嘉門次は
炉辺で火を焚きながら縄を綯うている、どうも登山の支度をしてはいないらしい、何だか....
「案内人風景」より 著者:黒部溯郎
詳しく物語ってくれる。誰でも上高地を訪ねた人が、もし機会があったなら、彼を訪ねて
炉辺に榾火を焚きながらこの物語を聞いて御覧なさい。相応しい山物語りにホロリとする....