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炊き
「炊き〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
炊きの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
ながら、同僚の一人二人と一しょに、やはり一ひしぎにつぶされた学校の外の仮小屋で、
炊き出しの握り飯を手にとった時とめどなく涙が流れた事は、未だにどうしても忘れられ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
が来た。その報告によると、上州屋の奉公人は番頭小僧をあわせて男十一人、仲働きや飯
炊きをあわせて女四人である。この十五人の身許を洗うにはなかなか骨が折れたが、馬道....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
の者か、そこはよく判らないそうです。台所働きはお由とお庄というんですが、これは飯
炊きや水汲みに追い使われているだけで、奥の方のことは何も知らないようです」 「ゆ....
「鮨」より 著者:岡本かの子
きれいに洗ってあるよ。判ったかい。判ったら、さ、そこで――」 母親は、鉢の中で
炊きさました飯に酢を混ぜた。母親も子供もこんこん噎せた。それから母親はその鉢を傍....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
れても晴れても毎日毎日、一命を投げてかかって、緊張し切った終日の労働に、玉の緒で
炊き上げたような飯を食って一生を過ごして行かねばならぬ漁夫の生活、それにはいささ....
「河口湖」より 著者:伊藤左千夫
れば手を染めそうな色である。 湖も山もしっとりとしずかに日が暮れて、うす青い夕
炊きの煙が横雲のようにただようている。舟津の磯の黒い大石の下へ予の舟は帰りついた....
「耽溺」より 著者:岩野泡鳴
、台どころ道具などを初め、所帯を持つに必要な物はほとんどすべて揃えてもらい、飯の
炊き方まで手を取らないまでにして世話してもらったのであるが、月日の経つに従い、こ....
「蠅男」より 著者:海野十三
ちに、臭いを気にする連中が、あとからあとへと起きてきて、てんでに廂を見上げたり、
炊きつけたばかりの竈の下を気にしたりした。だがこの淡い臭気が、一たい何処から発散....
「食魔」より 著者:岡本かの子
た拓本職人の老人の家だった。貧しいが鰥暮しなので気は楽だった。母親は老人の家の煮
炊き洗濯の面倒を見てやり、彼はちょうど高等小学も卒業したので老人の元に法帖造りの....
「青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
ましたから何とも思わなかったが、自分ひとりになるとどうもさびしい。第一に朝晩の煮
炊きにも困ります。誰か相当の嫁をお世話下さいませんか。」と、彼はあるとき庄屋の家....
「沈没男」より 著者:海野十三
かの便を得て、そちらへ送ろうと思う。原稿の方はすぐ続いて打電するつもりだ。只今、
炊き出しを呉れるというから、これで一応報告を切る。こちらの
炊き出しは豪勢だ。七面....
「母と娘」より 著者:岡本かの子
に葡萄酒が備えてあるの。農夫は野良仕事に葡萄酒を壜に詰めてぶら下げて行きます。煮
炊きするのに水の代りに葡萄酒を使うのよ、それで贅沢じゃないことよ。どの家にも大き....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
思うと、更にそこらから枯枝を拾いあつめて来て、それに燧の火をすり付けて、粟の粥を
炊きはじめた。小坂部と采女とはまだ川のほとりを立ち去らなかった。 川の底へ深く....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
て、古襦袢、ぼろまでを脱ぎ、木綿の帯を半分に裂いて屑屋に売って、ぽんぽち米を一升
炊きした、その時分はそれほど懇意だったのですが。――また大食いな男で、一升一かた....
「白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
顔を洗うことは出来ない、僅かに茶碗に一杯の水で口を漱いで小屋に入る。宗忠は飯を
炊き始める。水桶に移すと、今度は宗平が飯を炊く、見ると湯の沸いた中へ、一升ばかり....