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「炎暑〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

炎暑の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
」より 著者:芥川竜之介
と風との通っている、庚申薔薇《こうしんばら》の枝へなだれ出した。彼等のある一団は炎暑を重く支えている薔薇の葉の上にひしめき合った。またその一団は珍しそうに、幾重....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
てられない酷暑つづきで、そのときのお奉行所《ぶぎょうしょ》お日誌によると、この年炎暑きびしく、相撲《すもう》取り的にて三人蒸し死んだるものある由、と書かれてあり....
二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
に崖くずれがあって、大分、人が死んだ処だから。」―― と或友だちは私に言った。炎暑、極熱のための疲労には、みめよき女房の面が赤馬の顔に見えたと言う、むかし武士....
省線電車の射撃手」より 著者:海野十三
た―― もう九月も暮れて十月が来ようというのに、其の年はどうしたものか、厳しい炎暑がいつまでも弛まなかった。「十一年目の気象の大変調ぶり」と中央気象台は、新聞....
黒い地帯」より 著者:佐左木俊郎
ところへ駈けて行った。 * 森山が、疲労と睡眠不足との身体を炎暑に煎りつけられて、日射病系の急性|霍乱で死んでから、そこの小作人達は、代る代....
犬を連れた奥さん」より 著者:神西清
かな温かそうな藤色をして、その面には月が金色の帯を一すじ流していた。二人はまた、炎暑の日の暮れたあとがひどく蒸し蒸しすることも話題にした。グーロフは、自分がモス....
良夜」より 著者:饗庭篁村
に我身ながら快よく思われて、造化広大の恩人も木も石も金もともに燬くるかと疑わるる炎暑の候にまたかくの如く無尽の涼味を貯えて人の取るに任すとは有難き事なりと、古人....
決闘」より 著者:神西清
逃げ出そう!』と起き直って呟いた、『逃げ出そう!』 荒れ寂びた海辺、堪えがたい炎暑、それにいつ見ても黙々と同じ姿をして永遠に孤独な、淡紫に煙りわたる山々の単調....
越後の闘牛」より 著者:佐藤垢石
私は、やはり今年も上旬から、北魚沼郡小出町の地先を流れる魚野川の清冽を慕って、炎暑下の鮎の友釣りに、健康の増進を志していったのであったが、偶々長岡の友人若月文....
すっぽん」より 著者:佐藤垢石
五 春四月ごろ、冬眠から眼覚めたすっぽんは、間もなく交尾期に入り、七、八月の炎暑に産卵する。川に続いた岡の砂地へ這い上がってきて、自分で砂を掘り穴をこしらえ....
春宵因縁談」より 著者:佐藤垢石
かねた歴史がある。それは、こんな話だ。 大正六、七年ごろであったと思う。八月の炎暑の午後、相州小田原の傍らを流れる酒匂川の川尻で、私が黒鯛を釣っていると、そこ....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
して、波滑らかなること油のごとし。この日午前、熱帯圏内に入る。 二十日、快晴。炎暑の感あり。食堂に電扇を動かすことを始む。午後、汽船に際会す。当日、ナポレオン....
大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
入れ岡持など提げ、日暮里停車場より出て立つ。時は、八月の二十八日午后二時という、炎暑真中の時刻なりし。 前回の出遊には、天気思わしからず、餌は、これを除きてま....
かもめ」より 著者:神西清
た家。左手には湖が見え、太陽が反射してきらきらしている。そこここに花壇。まひる。炎暑。コートの横手、菩提樹の老木のかげにベンチが一脚。それにアルカージナ、ドール....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
しく臭う、沸々沸々沸々とした何かが、階上に充ち満ちていた。樺太とはいっても八月の炎暑である。鼠色の壁の幾つかの煤けた硝子窓からは、流石に強烈な日光が流れ込んで、....