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炬燵布団
「炬燵布団〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
炬燵布団の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「伊太利亜の古陶」より 著者:宮本百合子
入っているではないか。日下部太郎は皿を手にとり、説明出来ない複雑な表情を浮べた。
炬燵布団にぐったり頬をもたせ、眼の端から良人の仕業を見ていたみや子は、深紅色の珍....
「一九三二年の春」より 著者:宮本百合子
さんたちの方が男のひとたちより元気にしゃべった。頬を上気させ、しかし手は行儀よく
炬燵布団の下に入れたまま。 「そんなこと――嘘ずら!」 「誰が出すもんか。――誰....
「青年」より 著者:森鴎外
つの火鉢を顧みないで、指の尖の驚くべく細い、透き徹るような左の手を、退紅色摸様の
炬燵布団の上に載せて、稍神経質らしく指を拡げたりすぼめたりしながら、目を大きく※....
「農村」より 著者:宮本百合子
れなり懐に一杯薯を抱いてつかまった事を、顔中の和毛をそよがせながら話した。そして
炬燵布団に、髯もじゃの顔を押しつけて居眠りを始めた。祖母は笑いながらゆり起した時....
「同胞」より 著者:豊島与志雄
いれさして、恒夫にもそれにあたらせたがった。そして恒夫がお義理半分に、足先だけを
炬燵布団の中に差入れて、畳の上に腹匐いながら、雑誌の小説を拾い読みしてるのを、し....
「黒点」より 著者:豊島与志雄
ってたのが、今は乱雑に散らかってぱっと明るかった。柱にかかってる着物や、座布団や
炬燵布団や、鏡台のまわりの化粧壜や、机の上に盛り上ってる雑誌や小箱や人形など、ど....
「怒りの虫」より 著者:豊島与志雄
に据えて、内心に思いをこらしてるようだった。それは暴風の前兆のようだった。木山は
炬燵布団に顔を伏せた。 ≪俺がいま、彼女を抱きしめてやったら、彼女の心はすぐに和....
「未亡人」より 著者:豊島与志雄
で、そして息をこらし、ぼってりしたあなたの胸から肩へ掌を押しあてながら、とうとう
炬燵布団の上に顔を押しあててしまいました。それから、静に手を引きましたよ。 「薄....
「祭りの夜」より 著者:豊島与志雄
るしゃれた平家だ。 政代は薄化粧して、炬燵にあたっていた。梅の大模様を散らした
炬燵布団に、手先だけをちょっと差入れて、くりこしの深い着物に更に肩すべりに羽織を....
「蔵の二階」より 著者:豊島与志雄
新聞紙の破片が室中にちらかる。それをカヨは丹念に掃き清める。猫はもうくたぶれて、
炬燵布団の上に寝てしまう。カヨは写経の神聖な仕事にかかるのである。 或る時、夜....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
こともあるが、それは後にして」
いいながら、ふと沢庵が隣の襖を開けると、そこの
炬燵布団へ小屏風を囲い、雪の夜を心ゆくまで暖まりながら寝ている人がある。それが光....