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炭殻
「炭殻〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
炭殻の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「河童」より 著者:芥川竜之介
には硝子《ガラス》を製造するほかにも石炭|殻《がら》を戦地へ送りました。」
「石
炭殻を何にするのですか?」
「もちろん食糧にするのです。我々は、河童は腹さえ減れ....
「寒さ」より 著者:芥川竜之介
り出した。保吉は「朝日《あさひ》」を一本つけ、前よりも気楽に歩いて行った。
石
炭殻《せきたんがら》などを敷いた路は爪先上《つまさきあが》りに踏切りへ出る、――....
「死後」より 著者:芥川竜之介
き》に沿った道を歩いていた。
道はもう暮れかかっていた。のみならず道に敷いた石
炭殻も霧雨《きりさめ》か露かに濡《ぬ》れ透《とお》っていた。僕はまだ余憤《よふん....
「老妓抄」より 著者:岡本かの子
宅が建ち並んだが、むかしの鐘《かね》ヶ|淵《ふち》や、綾瀬《あやせ》の面かげは石
炭殻の地面の間に、ほんの切れ端になってところどころに残っていた。綾瀬川の名物の合....
「自叙伝」より 著者:大杉栄
中庭へ引き出された。半星形に立ちならんだ建物と建物との間の、かなり広いあき地に石
炭殻を一面にしきつめた、草一本生えていない殺風景な庭だ。 受持の看守部長が名簿....
「足迹」より 著者:徳田秋声
つが、それであった。まだ木の香のするようなその建物について、裏へ廻ると、じきに石
炭殻を敷き詰めたその家の勝手口へ出た。 新壁の隅に据えた、粗雑な長火鉢の傍にぽ....
「黴」より 著者:徳田秋声
軒の小体な家が、ようやく壁が乾きかかったばかりで、裏には鉋屑などが、雨に濡れて石
炭殻を敷いた湿々する地面に粘り着いていた。 笹村は旅から帰ったばかりで、家を持....
「爛」より 著者:徳田秋声
、宵になると窟にでもいるようにひっそりしていた。時々近所の門鈴の音が揺れたり、石
炭殻の敷かれた道を歩く跫音が、聞えたりするきりであった。 二人きり差し向いの部....
「伸子」より 著者:宮本百合子
ものう》い心持がつのるようだ。 伸子は、離れを、ぐるりと風呂場の裏へ廻った。石
炭殻がザクリ、ザクリと大きな音を立てた。 「だれだい」 「私」 ガラリと窓が開....
「日は輝けり」より 著者:宮本百合子
千もの豆太鼓を耳のうちで鳴らしているようで、人の声が何か一重距てた彼方に聞え、石
炭殻を一杯つめたように感じる頭を、ちょっとでもゆすると、ガサガサと一つ一つになっ....
「残されたる江戸」より 著者:柴田流星
戸前といった鰻、今も大川尻から品川の海にかけて獲れはするが、紡績や、川蒸汽船の石
炭殻を流しこむので、肉の味ゲッソリおちて、食通の口に適せず、妻沼、手賀沼あたりか....
「モルモット」より 著者:細井和喜蔵
、とっぷり暮れた初夏の工場街をあてどもなく彼方此方さまよった。 路はとげとげな
炭殻だった。わけても鋳物工場から放り出した瓦斯コークスの塊ったクリンカーや金糞が....
「売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
お千は、それよりも美しく、雪はなけれど、ちらちらと散る花の、小庭の湿地の、石
炭殻につもる可哀さ、痛々しさ。 時次郎でない、頬被したのが、黒塀の外からヌッと....
「風立ちぬ」より 著者:堀辰雄
った例の小さな教会の前を私が通りかかると、そこの小使らしい男が雪泥の上に丹念に石
炭殻を撒《ま》いていた。私はその男の傍に行って、冬でもずっとこの教会は開いている....
「随筆 新平家」より 著者:吉川英治
くのである。もちろん田園風景といえるようなものではなく、工場と田ン圃と、農家と石
炭殻の山と、住宅地と鮒もいなくなった水溜りと――といったような生活図の変化に富む....