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点在
「点在〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
点在の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「深夜の市長」より 著者:海野十三
いか、だいぶん混み合っていた。どこに支店長がいるのかと、僕は帳簿が沢山並んだ間に
点在する銀行員を見廻した。すると室の中央に突立っていた年配の人物が、こっちを向く....
「寒の夜晴れ」より 著者:大阪圭吉
へ続いて行った。この辺りはH市の郊外でも新開の住宅地で、植込の多い人家はまばらに
点在して、空地とも畑ともつかぬ雪の原が多かった。 この雪は、夕方から八時まで降....
「単独行」より 著者:加藤文太郎
ていてスキーは少しも沈まない。太郎平から上ノ岳の小屋までも、クリスマス・ツリーの
点在した気持のよい雪原だった。上ノ岳の小屋は風のため、大部分露出していた。初め西....
「雪たたき」より 著者:幸田露伴
らと降っている。片側は広く開けて野菜圃でも続いているのか、其間に折々小さい茅屋が
点在している。他の片側は立派な丈の高い塀つづき、それに沿うて小溝が廻されている、....
「後光殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
り、最初の夜は、臭化ラジウムと硫化亜鉛とで作った発光塗料を、予め黒い布帽子に円く
点在させておいて、それを像の後頭部に冠せ、その布帽子に長い紐をつけて、紐の末端を....
「十二神貝十郎手柄話」より 著者:国枝史郎
揺れてもいた。海は向こうまで七里あり、対岸には桑名だの四日市だのの、名高い駅路が
点在していた。 よく晴れた日で暑かった。 と、一人の美しい娘が、島田髷をつや....
「地虫」より 著者:小栗虫太郎
、自転車の六日競争の小屋があるくらいである。 おまけに、その二、三の棟が疎らに
点在していて、もしも秋の日暮に、私たちがこの島を訪うたとして、海風に騒ぐ茫漠たる....
「鷲」より 著者:岡本綺堂
くらいであろうと思われるのに、ここらは深夜のようにしずまって、田畑のあいだに遠く
点在する人家の灯もみな消えている。 又次郎はどこをあてともなしに、明るい往来を....
「宝塚生い立ちの記」より 著者:小林一三
)の電車開通当時は、武庫川の東岸すなわち現在の宝塚新温泉側はわずかに数軒の農家が
点在するのみで、閑静な松林のつづく河原に過ぎなかった。 箕面有馬電気軌道はその....
「荘子」より 著者:岡本かの子
低く夕靄が匍って離れ離れの森を浮島のように漂わした。近くの村の籬落はまばらな灯の
点在だけになり、大梁と思われる地平線の一抹の黒みの中には砂金のような灯が混ってい....
「余齢初旅」より 著者:上村松園
嬉しかった。小川があると、支那の田舎娘が菜を洗っている。どの畠にもお墓の土饅頭が
点在するのであった。 だがまたしても思う……何という支那は大きな国であろう、土....
「中支遊記」より 著者:上村松園
がっての遠望は、まさに好個の山水図であった。 楊柳をあしらった農家が五、六軒も
点在したろうか。放し飼いの牛が遊んでいる。悠々たる百姓の姿が見える。いまは葉を落....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
右方には北豪州クイーンズランド州の連山にそいて南走す。ところどころ無数の珊瑚州の
点在するあり、その間を縫いて行く。これを望むに、一帯の白砂のごとし。往々その上に....
「黒部川を遡る 」より 著者:木暮理太郎
のであることは、脚の下に赭色の岩膚を露出している大きなガレから察せられる。谷間に
点在している椈の木などは、恐らく土や岩と共に頽れ落ちた若木の生長したものかも知れ....
「春の大方山」より 著者:木暮理太郎
、大宮から二里も来るとやがて中井出に達した。此のあたりもまだ田や畑が拓け、人家も
点在して、杉木立なども繁り、裾野の中であっても、それらしい感じは起らない。明日は....