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「点描〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

点描の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
をなしていて――色彩の雑群を作っている所が、すなわちそれだったのです。ところで、点描法の理論を御存じでしょうか。色と色を混ぜる代りに、原色の細かい線や点を交互に....
紀行文家の群れ」より 著者:小島烏水
感傷癖はあったが、淡泊清新、ことに武蔵野あたりの原野や雑木林の寂しさを、淡彩的に点描するのに巧みであった。武蔵野といえば、ただちに独歩の名作が連想されるが、花袋....
石狩川」より 著者:本庄陸男
ている。実は彼らには、どちらが表でどちらが裏かも判らないが、それは対岸の白い砂に点描されてきらりと動き、たしかに高貴に見えた。高貴な人の謙遜《けんそん》な意志を....
一粒の粟」より 著者:宮本百合子
青|天鵞絨《ビロード》の山並に丸く包まれた湖は、彼等の水槽。 チラチラと眩ゆい点描きの風景、魚族のように真黒々な肌一杯に夏を吸いながら、ドブンと飛び込む黒坊―....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
パラソルを傾けて叱り、そのぱらそるに――やっぱり日光がそそぐ。 まるで印象派の点描のように晴明な効果を享楽するのが、初夏のハイド・パアクだ。 草に男女。遠足....
ヤトラカン・サミ博士の椅子」より 著者:牧逸馬
飛行して行った。 そのマカラム街には、赫灼《かくしゃく》たる陽線がこんな情景を点描していた――。 紺青《こんじょう》に発火している空、太陽に酔った建物と植物....
ふるさとに寄する讃歌」より 著者:坂口安吾
ようとする度に、陰険に、他の一点を消し去ろうとした。私はそれを妨げるために、私の点描に速力を加えるのであった。私の癇癪にそうて、円も亦旗のように劇しく揺れた。あ....
炎の人――ゴッホ小伝――」より 著者:三好十郎
して、堂々と描いている。色にしたって、そうだ。塗り方にはスーラやピッサロなんぞの点描が入って来ているんで少し気に食わんが、まじりっけなしだ。マルチニックの透き通....
恐怖の季節」より 著者:三好十郎
へ走っている夜汽車内の短いスケッチである。引揚者やそうでない老若男女の姿と会話が点描してある。「吉野さん」はそれよりもいくらか長い作品で、戦争中に「わたし」が知....
三国志」より 著者:吉川英治
、自分の解釈や創意をも加えて書いた。随所、原本にない辞句、会話なども、わたくしの点描である。 × いうまでもなく三国志は、中国の歴史に取材して....
随筆 新平家」より 著者:吉川英治
いう信濃千曲川の対陣のころから、伏線的に、巴の母性も、義仲の若い父性もおりおりに点描しておいた。そして、さいごの粟津ヶ原の日まで、特に巴の母性的な子への思いを積....