点滴[語句情報] » 点滴

「点滴〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

点滴の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い：新字新仮名]
「婦系図」より 著者:泉鏡花
雨の中を、雲は白鷺の飛ぶごとく、ちらちらと来ては山の腹を後に走る。 函嶺を絞る点滴に、自然浴した貴婦人の膚は、滑かに玉を刻んだように見えた。 真白なリボンに....
「眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
絶えそうに寂寞しながら、ばちゃんと音がした。ぞッと寒い。湯気が天井から雫になって点滴るのではなしに、屋根の雪が溶けて落ちるような気勢である。 ばちゃん、……ち....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
は冴えて、いささかも窶れない。憂えておらん。清らかな衣を着、新に梳って、花に露の点滴る装して、馬に騎した姿は、かの国の花野の丈を、錦の山の懐に抽く……歩行より、....
「鷭狩」より 著者:泉鏡花
が、近々と聞える処に、洗面所のあったのを心着いた。 機械口が緩んだままで、水が点滴っているらしい。 その袖壁の折角から、何心なく中を覗くと、 「あッ。」と、....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
冷りとする。身震いして少し起きかけて、旅僧は恐る恐る燈の影に透したが、幸に、血の点滴ではない。 さては雨漏りと思う時は、蚊帳を伝って雫するばかり、はらはらと降....
「第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
。」 「あ。」 と顔を上げると、誰も居ない。炬燵の上に水仙が落ちて、花活の水が点滴る。 俊吉は、駈下りた。 遠慮して段の下に立った女中が驚きながら、 「あ....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
じていたと云う。 時に、途中ではさもなかった。ここに休む内に、怪しき気のこと、点滴る血の事、就中、姫の数の幻に一人多い事が、いつとなく、伝えられて、烈しく女ど....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
いと思う。荷高の偵察によれば――不思議な日、不思議な場合、得も知れない悪臭い汚い点滴が頬を汚して、一雪が、お伽堂へ駆込んだ時、あとで中洲の背後へ覆被さった三人の....
「犬」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
レリヤが、「クサカはどうしましょうね」といった。この娘は両手で膝を擁いて悲しげに点滴の落ちている窓の外を見ているのだ。 母は娘の顔を見て、「レリヤや。何だって....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
な、鈍い、濁った――厭果てた五月雨の、宵の内に星が見えて、寝覚にまた糠雨の、その点滴が黴びた畳に浸込む時の――心細い、陰気でうんざりとなる気勢である。 「水差が....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
でにまた、恍惚と咲いて覚める、……殊に不思議な花なんですもの。自然の露がその唇に点滴らなければ点滴らないで、その襟の崩れから、ほんのり花弁が白んだような、その人....
「夢殿殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
始めた。屍体の周囲には、四個所の傷口から滴り落ちた僅かなものだけが、ところどころ点滴を作っているだけであって、全身には大出血特有の不気味な羸痩が現われ、弛んだ皮....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
炎。 「ああ、ああ、刺青ッて、こんなでしょうか。」 居ずまいの乱るる膚に、紅の点滴は、血でない、蛍の首でした。が、筆は我ながら刀より鋭く、双の乳房を、驚破切落....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
しになっていた衣服はお前あの通だ、聞かっせえ。」 時に絶えず音するは静な台所の点滴である。 「あんなものを巻着けておいた日にゃあ、骨まで冷抜いてしまうからよ、....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
」と落ち付き払って勉強し続けるのです。すると長年月の後には、「塵積って山となり、点滴石を穿つ」というように、必ず自分の才能特色が何らかの形をとって世に現れずには....